対ロ緊張緩和で苦心=トルコ大統領に試練 | ニコニコニュース

 【エルサレム時事】トルコ軍によるロシア軍機撃墜を受け、トルコのエルドアン大統領が両国間の緊張緩和に苦心している。エルドアン氏にとっては、与党が圧勝した1日の出直し総選挙で足場を固め、国内外で影響力を強めようとした矢先の試練。「友人」だったはずのロシアのプーチン大統領の怒りを静められるかは、シリア内戦でのトルコの立場にも影響を及ぼす可能性がある。

 トルコ軍が24日、シリア国境付近で「領空侵犯」したロシア軍機を撃墜すると、両大統領の関係は一気に険悪化した。プーチン氏は謝罪を要求したが、エルドアン氏は「謝罪すべきは領空侵犯した者だ」と一蹴。ロシアによる事実上の経済制裁に対しても、撃墜の正当性を繰り返し強調し、双方の主張は真っ向から対立している。

 その一方でエルドアン氏は、プーチン氏との直接会談を要請するなど緊張緩和も模索。AFP通信によれば、訪問先の中西部バルケシル県で28日、支持者らに対し「今回の事件について本当に悲しんでいる。(撃墜が)起きなければよかったと思う」と述べ、これまでの友好関係を壊さないよう訴えた。

 シリア内戦をめぐり、国際社会で「テロとの戦い」を優先する機運が盛り上がる中、アサド大統領の退陣にこだわるトルコは難しい立場に置かれている。トルコが敵視するシリアのクルド人勢力に関しても、欧米やロシアは、過激派組織「イスラム国」と戦うパートナーと見なしている。トルコとすれば、ここでロシアを完全に敵に回せば、シリア問題でさらに不利な状況に陥りかねない。