「イスラム国」が日本の神社情報入手で、初詣が危ない!? 軍事評論家が語る | ニコニコニュース

画像は、『「イスラム国」謎の組織構造に迫る』(集英社)
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 中国共産党の機関紙「人民日報」の国際版「環球時報」では、11月19日、「イスラム系過激派組織ISの攻撃対象の出身国に法則性はない」とする記事を掲載した。これはISが先日、中国人とノルウェー人の人質2人を殺害したと発表したことを受けてのもので、中国がターゲットになってはいないとしたもの。しかし、これに軍事評論家の青山智樹氏は「実際にはその逆」と反論する。

「たしかにISは中国に対して表立って宣戦布告などはしていませんが、中国が公的には信教の自由を認めておらず、新疆ウイグル地区でイスラム教徒に対する弾圧を行なっていることに注目し始めているという情報があります。中東方面のネット上でも原理派寄りな連中が中国批判をしていたりするので、ターゲットにならないということはない」

 欧州の新聞などでは、中国側の声明に対し、表立ってISとの対立を避けようとしているのではないかという解説も見られる。その理由は中国人が世界各国で展開しているチャイナタウンにあるともいわれている。もし中国がターゲットとなれば困るのは世界中のチャイナタウンでのテロ危機。チャイナタウンは中国にとって各国の情報収集の役割を果たしてもいるだけに、ここを攻撃されるのは絶対に避けたいというわけだ。

 そもそも中国国内でもISと無関係な国内テロ事件が頻発しており、その脆弱性が世界に知れ渡ってしまっている。それだけになおISのような大規模組織から狙われるのは避けたいところだろう。さらに中国ではネット上で「ISから敵視されている認識が広まるのは中国政府にとって都合が悪い。なぜなら反日感情などを煽れなくなってしまうから。本当の脅威が別にあることを国民が知ってしまう」という意見も見られた。

 一方、日本のテロ危険度について青山氏はこう語る。

「日本はそもそも銃器類の所持に非常に厳しく、入国管理に関してもフランスなどと比較にならないほど緻密ですから、フランスのような大規模なテロは日本では起こりえないでしょう。入国に対すること、国内で銃器類を入手すること、この2つのハードルでテロの実行が困難なのです」

 ただ、海外では東京の有名神社の警備についての詳細な情報がISに渡ったという怪情報も伝えられたりしている。

「もし危険があるとすれば局地的なテロで、火炎瓶のような原始的なものを使ったもの。特に日本では初詣に明治神宮や川崎大師など人気神社に数百万人が集まるとかあらかじめ判明している神社があるので、警備さえくぐれればテロは可能。来場者を全員ボディチェックするわけにはいきませんし、火炎瓶であればペットボトル1本分のガソリンに火をつければいいだけ。現段階では実行せず、情報だけは握ったことを匂わせて右往左往する日本政府を手玉に取ったとPRしているようにも見える」

 ISからすれば日本に対しては大きなリスクをとって爆破などするよりも、人質を取っての身代金をとるような形の方がいいということか。

「もっとも日本はこれをうまく利用して防衛省や警察の対テロ特殊部隊を強化したいという思惑もあります。実際、アメリカから特殊部隊用の武器を増やすよう迫られているともいわれているので、軍事力強化という流れになりやすいでしょうね。日本が軍事力を増大させれば、アメリカの駐留負担が減るので、表向き平和的な方向性を見せることにもなります」

 ISをめぐっては日本も中国もテロ撲滅というより、自国の利益を考えているということか。
(ハイセーヤスダ)