デフレ回避へ追加緩和=マイナス金利拡大、量的緩和延長―欧州中銀 | ニコニコニュース

 【フランクフルト時事】欧州中央銀行(ECB)は3日、定例理事会を開催し、ユーロ圏経済がデフレに陥るのを回避するため、追加金融緩和の実施を決定した。政策金利の一つで、市中銀行がECBに預け入れる余剰資金に対する「中銀預入金利」について、現在のマイナス0.20%からマイナス0.30%に引き下げる。実施は9日。

 また、ドラギ総裁は記者会見で、月600億ユーロ(約8兆円)の規模でユーロ圏諸国の国債などを購入する量的金融緩和政策について、2016年9月末の期限を17年3月末に延長するほか、新たに地方債などを購入対象に含めることを明らかにした。総裁は、量的緩和策の再延長についても「必要に応じて」と、含みを持たせた。

 世界では、米連邦準備制度理事会(FRB)が今月、9年半ぶりの利上げに踏み切るとみられており、ECBの政策との方向性の違いが鮮明になっている。外国為替市場で金利差が意識されユーロ安が進めばユーロ圏の輸出を後押しするとの期待がある。市場の動きは追加緩和が取り沙汰されている日銀の政策にも影響を与える可能性がある。

 ユーロ圏の消費者物価は最近、前年比0%近辺で推移しており、ECBの目標の2%弱を大幅に下回っている。理事会後に公表されたECBのスタッフによる最新のユーロ圏経済予測では、エネルギー価格の下落を背景にインフレ率の見通しが16年は1.0%、17年は1.6%と、9月時点の予測に比べわずかに下方修正された。ドラギ総裁は追加緩和の実施について、「インフレが目標に向かって推移するのを確保するため」と説明した。

 一方、金融緩和の長期化に伴う弊害についてECB内外でも指摘が出ているが、ドラギ総裁は「これまでのところ、金融緩和の副作用はみられない」と否定的な見解を示した。