ホームシックになりやすい人必見! 臨床心理士に聞く、一人暮らしの寂しさ解消法 | ニコニコニュース

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帰宅しても真っ暗、気配や物音はない、呼びかけても何の反応もない……、「一人暮らしをしていると、不意に寂しくなることがある」と同僚がつぶやいています。

「不安感や孤独感は自分の内側、心の中から生まれる感情です。決して悪い感情ではなく、うまく付き合うと充実感に転換できることもあります」と話すのは、臨床心理士でスクールカウンセラーの藤永聡美さん。詳しいお話しを聞いてみました。

■不安は一人暮らしに慣れて、余裕が生まれた証

一人暮らしの寂しさや不安感について、藤永さんはこう話します。

「国語辞典の『大辞林』では、『不安』は『気がかりなこと。心配なこと。これから起こる事態に対する恐れから、気持ちが落ち着かないこと』とあります。また、心理学辞典では『自己価値を脅かすような破局や危険の漠然とした予感』とあります。つまり、『嫌なこと、怖いことが自分に降りかかるかもしれないと感じること』です。

一人暮らしを始めたころは、慣れない料理や洗濯などの家事や生活リズムを整えるのに慌ただしい日々で、寂しさを感じる間もないでしょう。

ですが、暮らしに慣れてするべきことがひと段落したとき、時間的な余裕が生まれて暇だなと感じると、さまざまな不安やマイナスの感情を覚えることがあります。それは、自然な感情です」

部屋の静けさや、寂しさをまぎらわすためにつけたテレビ音や音楽が、逆にブルーな気分を強めることがある、と聞きます。

「テレビや音楽は聞き流すことができる性質のものなので、それで寂しさをまぎらわすことは難しいと考えましょう。

それよりも、料理をする、模様替えをする、日曜大工をする、植物を育てる、部屋の片づけや掃除に没頭するなど、『一人で打ち込めること、集中できること』を実行してください。

そうするうちに、一人暮らしの部屋に愛着が持てて、自分の生活そのものを大事に思うようになるでしょう」(藤永さん)

■掃除をするにも目標を立てる

自分の生活が大事に思えてくると前向きになれそうです。では、家事や日曜大工が苦手な場合はどうすればいいでしょうか。

「一人暮らしだと、何らかの家事をしないと生活が成り立ちませんから、例え料理が苦手でもごみ部屋の人でも、毎日何かはしていると思います。同じ何かをするのでも、目標があるとその作業に集中できて、目標がないとただだらだらしていると感じることになります。

家事や生活そのものに目標は持ちにくいと思うかもしれませんが、例えば、『今日はみそ汁の作り方をマスターしよう』、『今日中にトイレと風呂は掃除して、週末までにキッチンと窓の掃除をする』など、今日1日、3日間や1週間単位でもいいので、具体的な目標を立てて実践してみてください」(藤永さん)

「今日は靴箱の整理をする」などと具体的に決めると、集中できそうですね。

「そうです。行動するうちに、掃除と料理だけでも日々たくさんするべきことがあることに気付きます」と言う藤永さんは、続けて、

「その次には、自分の空間づくりに前向きな気持ちになり、楽しくなってくるはずです」と、寂しいというマイナスの感情を一人暮らしにとってプラスになる考え方、行動についてアドバイスをします。

■ジョギングなどの運動をする。趣味の時間を持つ

さらに藤永さんは、外へ出て体を動かすことを勧めます。

「ジョギングやウォーキングなどの軽い運動をするようにしましょう。自分が暮らす街の様子を見てまわるだけでさまざまな発見があるでしょう。カフェで読書をする、タブレットやノートパソコンで情報収集をするなどの時間を持てば、一人の時間が豊かになってくるはずです」

また、人との繋がりについて藤永さんはこうアドバイスをします。

「寂しいと感じているときは、心の中で誰かとの繋がりが感じられない状態かもしれません。趣味を持つなど、自ら行動を起こしやすいことを実践しましょう。

趣味の時間があると、寂しい気持ちを他人との繋がりを求める行動へ変えることができます。職場や旧友以外に、共通の趣味を持つ人たちとその趣味について話すだけで、お互いに良い刺激を与え合えることもあるでしょう」

家事にも目標を決めて実践する、軽い運動をかねて街へ出かける、新たな趣味や楽しみを見つける――。寂しさに気付いたときが、いつもの生活から充実感を得る日々へのきっかけとなるかもしれません。

(岩田なつき/ユンブル)

取材協力・監修 藤永聡美氏。臨床心理士。中学生、高校生を中心にしたスクールカウンセリングや、子どもの発達相談の現場を中心に活動。また幼児期から学齢期の子どもの母親の子育て相談を行う。