内科医に聞く、足がくさいのは水虫のはじまり? 関係ないと思っていると危ない! | ニコニコニュース

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水虫というと不潔で異臭を放つとイメージしがちですが、内科医で大阪府内科医会副会長の泉岡利於(いずおか・としお)医師は、「水虫菌や足の汗そのものは、実はにおいを発していません。菌が足のはがれた角質を分解して腐敗性の物質を作る、それが汗と混じるなどしてにおうんです」と話します。そこで、水虫と足のにおいの関係について、詳しく聞いてみました。

■皮ふ常在菌や白癬菌によって作られる脂肪酸がにおう

――足がにおう原因は何なのでしょうか。

泉岡医師 水虫がなくても、足はにおいます。足のにおいの正体は、「皮ふ常在菌」が、はがれた足の裏や指の間の皮脂、皮ふ表面の角質層を分解したときに作り出す「脂肪酸」にあります。

――水虫があるとにおいが強烈になるように思いますが、どのように関係しているのでしょうか。

泉岡医師 水虫とは、一般に水虫菌と呼ぶ「白癬菌(はくせんきん)」が繁殖することで発症する皮ふの感染症です。白癬菌は皮ふの角質のタンパク質や皮脂を栄養源として増殖し、皮ふに侵入して脂肪酸など腐敗性の物質をつくります。また、リンパ液も分泌し、そのうえ、角質層が大量にはがれて汗と混じり合うなどでにおいは強くなります。

――水虫があろうとなかろうと足がにおうメカニズムは同じだけれど、水虫があると白癬菌の仕業(しわざ)で強くにおうということですね。

泉岡医師 そうです。水虫菌はカビの一種で、高温多湿な環境を好みます。温度15度以上、湿度70パーセント以上のときに増殖を始め、約26度以上で特に活発に活動するようになります。靴の中の足は温度も湿度も高くなるので、白癬菌が好む環境になるんです。

――高温多湿な靴の中と、白癬菌や皮ふ常在菌の活動は深く関係しているのですね。

泉岡医師 靴の中で、足は大量の汗をかいています。ただし、汗そのものにもにおいはありません。汗と皮ふ常在菌や白癬菌、はがれ落ちた皮ふ、脂肪酸、リンパ液などが混じり合ってにおいを強くしています。

――足はそれほどに汗をかいているのですか。

泉岡医師 汗をかく場所といえば、わき、背中、頭などを思い浮かべる人が多いと思いますが、足の裏にも汗腺(かんせん)という汗が出るスポットが集まっています。個人差はありますが、1日にコップ1杯分の汗をかくと言われています。

■高温多湿が好きな水虫菌を寄せ付けないよう、靴と靴下を履き替える

――汗をかきやすい原因や、気を付けることはありますか。

泉岡医師 ストレスがたまる、緊張状態が続くと、精神性発汗(はっかん)と言い、手のひらや足の裏に大量に汗をかきます。ベタベタとして蒸発しにくい、突発的な大量の汗なので菌が繁殖しやすくなります。このような汗をかいているときは、慢性的ににおいが発生しやすいでしょう。

――足のにおいを予防する方法はありますか。

泉岡医師 まずは、足をいつも清潔にするようにしましょう。特に、長時間履いた靴の内側には汗がしみ込み、菌が付着して繁殖しやすくなっています。インソールをはずしてアルコール消毒をしてから干す、連続して履かずに抗菌スプレーをふって1~3日は乾かすなどして、履いた後は必ず、毎回乾燥させましょう。

また、デスクワーク時はスリッパに履き替える、機会があれば靴を脱ぐなどして足裏や指の間に通気をするようにしてください。さらに、1日に2回以上靴下を履き替えると清潔感が保てますから、マイソックスを持ち歩くようにしましょう。

――水虫ができたかも、と思ったときはどうすればいいでしょうか。

泉岡医師 水虫の症状は、「指と指の間の皮がむける・白くふやける」、「足の裏や側面に2~3ミリの小さな水ぶくれができてやがて赤くなってむける」、「足の裏やかかとの皮ふが厚く硬くなりひび割れを起こす」、「爪全体が白っぽくなる」などで、足にさまざまな異変が起こります。進行すると完治までに1カ月以上かかり、再発もしやすくなります。

「これ、水虫かな」と思ったら、1日も早く市販薬を塗る、内科医や皮ふ科医に相談するなどしてください。人に感染させないためにも、治療が必要です。

水虫だから足がにおうのではなく、足がくさくなる環境と水虫ができる環境が同じ、ということが分かりました。足の裏、指の間を清潔に保つことが、どちらも予防することに繋がるということです。

(岩田なつき/ユンブル)

取材協力・監修 泉岡利於氏。医学博士。内科医、大阪府内科医会副会長。医療法人宏久会泉岡医院院長。

泉岡医院 大阪市都島区東野田町5-5-8 JR/京阪電鉄京橋駅中央出口から徒歩7分

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