【ストックホルム時事】２０１５年のノーベル賞の授賞式が１０日午後４時半（日本時間１１日午前０時半）から、ストックホルムのコンサートホールで行われた。熱帯の寄生虫病治療薬の開発に貢献した大村智・北里大特別栄誉教授（８０）に医学生理学賞、素粒子ニュートリノに質量があることを突き止めた梶田隆章・東京大宇宙線研究所長（５６）に物理学賞が贈られた。
授賞式は物理学、化学、医学生理学、文学、経済学の順に進行。各賞の選考委員が名前を読み上げると、受賞者はステージ中央に進み出て、スウェーデンのカール１６世グスタフ国王から金メダルと賞状を授与された。
オーケストラの演奏の中、梶田さんは受賞者の先頭で登場し、大村さんも続いた。物理学賞の受賞理由は「ニュートリノが質量を持つと証明した」、医学生理学賞は「病の人々を救った」と説明され、人類への貢献を求めたノーベルの遺志に沿うと紹介された。
大村さんは静岡県伊東市の土壌で発見した微生物から化学物質を取り出し、寄生虫病薬「イベルメクチン」の開発に貢献。イベルメクチンはアフリカや中南米に広がる「オンコセルカ症（河川盲目症）」の特効薬となり、多くの人々を救った。
梶田さんは岐阜県飛騨市の観測施設スーパーカミオカンデで、「ニュートリノ振動」と呼ばれる現象を捉え、ニュートリノに質量があることを証明。宇宙の成り立ちを解明する手掛かりをつかんだ。
日本人のノーベル賞受賞者は２４人となった。物理学賞は２年連続、医学生理学賞は１２年の山中伸弥京都大教授以来３年ぶり。