「アニメの構造的に、脅威になるやも…」 急成長を見せる中国アニメに、日本のアニオタも注目!? | ニコニコニュース

YouTube『西遊記之大聖帰来』英語トレーラーより。
おたぽる

 日本がクールジャパンで“オタク文化”のよる景気回復を図っているかと思えば、お隣・中国だって負けていない。中国政府は、2006年からアニメを文化産業育成の戦略分野に設定し、展開を続けてきたおかげか、去年のアニメ市場は1,000億元(約1兆9,000億円)にまで飛躍。この数字は4年前のおよそ倍であり、成長著しいのは火を見るより明らかだ。そんな中国アニメは、日本のアニメファンからも注目されつつある。

 今年7月に中国で公開された『西遊記之大聖帰来 MONKEY KING HERO IS BACK』(以下、『西遊記之大聖帰来』)。タイトルから察することもできるように、同作は使い回された感が否めない『西遊記』をモチーフにした3DCGアニメでありながら、公開3日間で1億元突破、3週間ほどで8億元、最終的には9億5,600万人民元(約180億円)を記録し、国内のアニメ歴代1位の興行となった。

 それまで1位だった、ドリームワークスの『カンフー・パンダ2』(6億1,200万人民元)の記録を大きく塗り替えた『西遊記之大聖帰来』。驚くべき点は、構想制作合わせて約10年とされる期間もさることながら、無名制作会社が手掛けたというところ。出資者からの要望を突っぱねてアイデアを守り、さらに最後は監督・田暁鵬(ティエン・シャオポン)自らが資金を捻出して完成に至ったという。

『西遊記之大聖帰来』以前の中国アニメは4~14歳ほどの子どもをターゲットにしていたようだが、同作の大ヒットを受け、大人もターゲットにしたアニメ制作に向けて動き出しているとのことだ。実際、大手制作会社のアルファ・アニメーションは、ウェブコミックサイトに約9億人民元を投資し、そのサイトに掲載されるマンガを原作に、成人用アニメの制作に乗り出しているもよう。また、インライトメディアという映画製作会社もアニメ担当部署を分社化させ、すでに10本の成人用アニメ制作に投資している。

 そうした背景を受けてか、今月2日には、中国初となる学園ハーレムアニメ『愛神巧克力ING...』の配信が開始された。YouTubeに上がっているPVには、「キャラかわいいし、よく動いてる」「作画よすぎ」「絶対、日本人が美術監督やってるだろ」「日本のアニメより力が入っている気がする。やるな中国」など、好意的な日本語のコメントが見られ、日本からも注目されていることがわかる。

 また、中国アニメの成長に対して、「日本もアニメーターの低賃金搾取と技術流出をどうにかしないと笑ってられんよ」「アニメの構造的に普通に脅威になるやもしれん」「歴史もの頼む」「中国の学校ほのぼの系がみたい。どんな学校生活なのか気になる」など、日本アニメを心配する声や、中国アニメに期待する声が上がっている。

 嘘か真か、中国が日本のアニメーターに高額ギャラを提示し、取り込もうとしているという話もある。すでに年間制作本数では、中国が世界1位となっているだけに、日本アニメの奮闘にも期待したいところ。無論、たくさん作ればいいということでもないが……。