周りの人の気分を害するほどの不潔は罪になる? | ニコニコニュース

周りの人の気分を害するほどの不潔は罪になる?
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電車に乗り込んだ瞬間、もしくは通りすがりにすれ違ったとき、鼻をくすぐる柔らかな香り……。容姿や身だしなみは社会人に求められるマナーだが、「気分を害するほどの不潔」についてはどうだろうか。ひどい体臭や、ボサボサでフケだらけの髪に、何ヵ月も洗濯していないのでは?と疑ってしまう汚れた衣服……。思わず、誰もが顔をしかめてしまうような不潔は、はたして罪に問われるのかどうか。三軒茶屋総合法律事務所の山田裕士弁護士に、意見を伺ってみた。

■法律で取り締まれない理由

「率直に申し上げると、非常に難しい問題です。相手が不潔かどうかは、受け手側の感じ方によって、大きく異なります。個人の主観によって変わってしまう、いわゆる“程度”の問題の場合は、それだけで罪に問うことは困難だと言えます」(山田弁護士)

不潔な人そのものを直接取り締まる法律はないようだが、臭いを規制する「悪臭防止法」、銭湯での不潔な行為を取り締まる「公衆浴場法」等は存在する。ただ、いずれも工場・事業場といった事業者や、特定の場所を対象とするため、個人の容姿や体臭には当てはまらないようだ。


不潔を罪として訴えるには、あまりの悪臭等で「呼吸困難や、病気、生理的機能を害した」という、具体的な証明(診断書等)が求められるだろう。

■“不潔”には、多くの問題が見え隠れする

去る11月12日、ごみ屋敷条例に基づき、京都市では市内に住む50代男性に対して、ごみ撤去の強制撤去を行った。意外だが、行政による強制執行は本件が全国で初めてだという。

「京都のように、周辺住民の多数が不快だと認識している場合は、行政が適切な指導や措置を取ることもあるでしょう」(山田弁護士)

ごみ屋敷のように、長期間に渡り、近隣に対して迷惑をかけていると“第三者が見て納得できる場合”には、自治体に相談するのもひとつの手かもしれない。また、一言で不潔と言っても、別の問題に発展するケースが存在する。

「例えば、近所の子どもさんが不潔な容姿で過ごしている場合は、お風呂に数ヵ月間入っていないとか、育児放棄や虐待等、別の問題が隠されている可能性も考えられます。公共機関への相談を検討する必要があるかもしれません」(山田弁護士)

■清潔感は、社会生活で重要な要素

個人の「清潔、不潔」に関する明確な線引きは難しいものの、会社によっては就業規則で「清潔な服装、身だしなみ等、マナーの保持に努める」等といった項目を定めている場合もある。

罪に問われるにしろ問われないにしろ、最低限のエチケットとして、人に不快感を与えないよう気配りが大切なのは、明白だろう。様々なアンケート調査において「第一印象で重要な要素」として、上位に挙がることが多い清潔感。周囲にできる限りよい印象を与えつつ、日常生活を有意義に送りたいものだ。

「教えて!goo」では「第一印象に重要な要素は何だと思いますか?」とみなさんの意見を募集中だ。

取材協力:三軒茶屋総合法律事務所 山田裕士 弁護士

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教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)