ガイアックスやスペースマーケットがシェアリングエコノミー協会設立——ただし実態には不安も | TechCrunch Japan

ガイアックス、スペースマーケット、クラウドワークス、ココナラ、AsMama、エニタイムスの6社は12月14日、シェアリングエコノミーの普及や発展を目的に、一般社団法人「シェアリングエコノミー協会」を設立することを明らかにした。設立予定日は2016年1月4日、理事は上記6社で、本日から会員を募集。2016年内に100〜200社を集めることを目標にしている。

代表理事にはガイアックス代表執行役社長の上田祐司氏、スペースマーケット代表取締役の重松大輔氏の2人が就任。理事にはAsMama代表取締役の甲田恵子氏、エニタイムズ代表取締役の角田千佳氏、ココナラ代表取締役の南章行氏、クラウドワークス代表取締役社長 CEOの吉田浩一郎氏がそれぞれ就任する。またアドバイザーとしてNPO法人ETIC.理事の鈴木敦子氏、ITジャーナリストの佐々木俊尚氏が就任する。また衆議院議員で自民党IT戦略特命委員会の福田峰之氏が団体と連携する。

今後は(1)すべての人が様々なカタチで、経済行為に参加できる社会の実現、(2)新しい経済行為を活性化させ、日本経済全体の発展に寄与すること、(3)プラットフォーム事業者の健全なるビジネス環境と利用者保護体制の整備——を理念として、ユーザー活用事例や運営ノウハウの共有、事業者間やユーザー、専門家を招いた勉強会の実施、シェアリングエコノミーサービスの普及活動を進めるとしている。

ガイアックスでは11月にシェアリングエコノミーの普及をテーマにしたイベント「Share! Share! Share!」を開催している。今回の理事はそのイベントの主要メンバーでもある。上田氏はこのイベントで延べ3000人の集客を実現したことから、「利用者の中でムーブメントが起こっている」と説明。シェアリングエコノミーのさらなる普及に向けて協会を立ち上げたと説明する。「まずは情報を集める。このタイミングはあくまでスタート。今後半年後などにファクトブックなどを出していきたい」(上田氏)

座組みだけお伝えすると「事業者が官を巻き込んでシェアリングエコノミーの普及・発展を進める」というポジティブな話だと理解できるのだけれど、その実行力や実態にはちょっと不安な点もある。

代表理事を務める1社のガイアックスは、前述のイベント以外にも、11月にシェアリングエコノミー特化の投資ファンド「シェアリングエコノミー1号投資事業有限責任組合」を設立しているものの、自社では9月に買収した「notteco」を展開するのみ。国内シェアリングエコノミー系サービスの事業者としては後発な企業、しかもシェアリングエコノミー系サービスに投資を行うという企業が団体の旗を振っていることで、どうしても「色」が付いているように見えてしまう。

また、理事の中には「2週間前に声がかかった」なんて企業もあるようだし、政策提案している新経済連盟との連携に関しても「団体としては関係ないが、事例、知見、問題点を集めて、これを新経連なり政府なりに提供してもいい。別団体だが協力関係」(吉田氏)と前向きな発言はあったが、具体的な連携施策などはまだないようだ。省庁との連携に関しても同様だった。

僕もこの1年の取材を通して、シェアリングエコノミーの隆盛は目にしてきたし、例えば「民泊」なんかは、政府主導でも制度設計に向けた前向きな話し合いが進められているところなので、シェアリングエコノミー系サービスの発展は応援したいと思っている。だからこそ、同協会にも事業者交流や勉強会だけとは言わず、政府や官公庁、警察、果てには消費者団体までのロビイングや情報交換、提言などを進めて、シェアリングエコノミーの発展に向けたさまざまな活動を期待したい。