「モナ・リザ」の絵の下に隠されていたもう1人の女の顔-微笑まない女の正体とは? | ニコニコニュース

※画像は、「YouTube」より引用
TOCANA

 数々の傑作を世に残してきたレオナルド・ダ・ヴィンチ、その中でも特に有名な作品といえば「モナ・リザ」だろう。描かれた人物が誰であったのかなど、この絵にまつわるエピソードは多い。見る角度によって印象が変わる特徴的な微笑の秘密については、以前トカナでも取り上げた。

 そのモナ・リザについて、また新しい発見がなされた。長年この絵を研究してきたフランス人研究家のパスカル・コット氏が9日、上海で行われたカンファレンスで行った発表によると、今見えている絵の下に「全く別人」の絵が隠されているのだという。

【その他の画像と動画はコチラ→"http://tocana.jp/2015/12/post_8283.html"】

■4層に分かれているモナ・リザ

 1503年頃に制作が始まったとされるモナ・リザは、フィレンツェの商人であるフランチェスコ・デル・ジョコンドの依頼によって、彼の妻のリザ・デル・ジョコンドを描いたというのが現在の定説だ。4年ほどの歳月を経て完成したとみられているが、ダ・ヴィンチはこの絵をその後も持ち歩き、加筆していたという。

 そんな名画について今回、光学技術を利用した絵画の分析を行う企業の創設者であるコット氏が、その技術の粋を集めて分析を行った。その手法は、絵画に様々な波長の光を当て、それをデジタル信号処理するというものだ。各種の顔料や固着剤がそれぞれ異なった波長の光を反射・拡散するため、そのデータを30億枚収集・分析することにより、表面上見えないところまで明らかにすることができた。

 その結果、モナ・リザは4層に分かれていることが判明した。その1層目である最下層には、おおまかな肖像画のアウトラインが描かれていたのだが、イスや頭部の大きさは現在見えているものとは異なるという。

 次の2層目にはヘアピンや真珠の髪飾りのようなものが描かれている。このうち何本かのヘアピンについては、肉眼でも確認することが可能だそうで、「ルーブルに行けば、空の中に見ることができますよ」とコット氏は言う。

 そして現在の見えている層のすぐ下の3層目には、モナ・リザとは別の女性が描かれている。視線は遠くを見据え、ややシャープな顔立ちで、表情には特徴的な微笑がない。また、着ているドレスが描かれた当時のフィレンツェのファッションとよく合っていることから、この女性こそがリザ・デル・ジョコンドではないかというのがコット氏の主張だ。

■では今見えているのは誰なのか?

 コット氏はあくまでも描かれた絵の内容を明らかにしただけであって、なぜ、3層目の絵ができたときに、依頼主に渡さなかったのか、なぜその絵に上塗りしたのか、それらを考える材料は出てきていない。また、今回の調査方法では、それぞれの層がいつ製作されたのかまでは分析できないため、4層目がいつ追加されたのかは不明だという。

 そんなこともあり、すべての研究者がこの内容に納得しているかといえばそうでもなく、懐疑的な意見もある。ドイツ・バンベルク大学の研究者であるクラウス・クリスチャン・カーボン氏は、「外見的な違いだけで100%別人だとは言えない」と話す。人間は人の顔を区別するのが得意だとしても、よく知らない人の角度の違った絵を見て、それが同一人物かどうかを判断するのは難しいのだ。また別の研究家も、当時の画家の慣習に鑑みて、ちょっとした修正を絵の上に描くのはよくあることだとして、別人だとする結論に疑問を寄せている。

 今回の研究は、査読付きの科学雑誌に認められたものではないため、下層に描かれた人物こそがリザ・デル・ジョコンドであるということを早々に決めつけることはできないだろう。ただ、もし別人であれば、様々な謎を投げかけてきたこの絵にまた新たな謎が生まれることになる。世界で最も有名な絵画とも言われるモナ・リザ、これくらい謎が多いくらいでちょうどよいのかもしれない。

※画像は、「YouTube」より引用