過去の核疑惑解明に終止符=イラン問題でIAEA理事会 | ニコニコニュース

 【ベルリン時事】国際原子力機関(IAEA)の特別理事会が15日、ウィーンの本部で開かれた。理事会は、イランが2003年末まで核爆発装置開発に関する組織的活動を行ったが、現在そうした情報はないとした事務局の報告書を踏まえ、過去のイラン核疑惑の解明プロセスに終止符を打つ決議を全会一致で採択した。

 02年に発覚した秘密裏のイラン核計画に対する検証作業は大きな区切りを迎えた。欧米など6カ国とイランは今年7月、イラン核問題解決に向けた最終合意に達しており、今後、イラン核活動の制限が順調に進めば、来年1月にも欧米などの対イラン制裁の段階的解除が始まる公算が大きくなっている。

 7月の最終合意に際し、IAEAとイランは核疑惑解消に向けた行程表で一致。IAEAは今月初めにまとめた報告書で、全容解明には至らなかったとの立場を取りつつ、「(核爆発装置開発が)研究や技術獲得という水準を超えて行われることはなかった」と指摘した。

 6カ国が作成した決議は「行程表の全活動は計画に沿って履行された」と評価し、「この件の検討を終了する」と明記した。一方で、IAEA事務局長に対し、イラン核活動について年4回理事会に書面で報告するよう要請。「懸念事項」が見つかった場合の通知も求めており、理事会が「適切な行動」を起こせる余地を残した。

 西側外交筋は「今後の力点はイランの現在の核活動と将来に向けた核計画のチェックに移る。だが、必要が出てくれば、過去の疑惑に再び目を向けることになる」と述べた。