シリア大統領の処遇が焦点=米長官、ロ大統領らと会談 | ニコニコニュース

 【モスクワ時事】ケリー米国務長官は15日、モスクワを訪問し、ロシアのラブロフ外相、プーチン大統領と会談した。プーチン大統領は「米ロは共にシリア危機の解決策を探している」と述べ、ケリー長官は「前進に向けて共に多くのことができる」と同意した。シリア情勢が主要議題で、過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いで調整を図る一方、和平に向けたシリアの政権移行におけるアサド大統領の処遇が焦点となった。

 外相会談で、ケリー長官は「ISは共通の脅威だ」と述べ、シリア情勢で米ロが協力する必要性を強調した。これに対してラブロフ外相は「解決すべき問題が残っている」と指摘し、政権移行に参加できる反体制派とテロ組織の線引きなどで、溝の深さを示唆した。

 シリア情勢をめぐっては11月24日、ロシア軍機がトルコ軍に撃墜され、ロシアとトルコの関係が緊張。それぞれアサド政権、反体制派に影響力を持つ両国の対立はシリア和平の動きを停滞させかねず、ケリー長官は自制を訴えたとみられる。

 米ロなどは18日にニューヨークでシリア和平に向けた外相級会合開催を調整しており、ケリー長官の訪ロには、一定の成果を得るための地ならしの狙いもある。米ロは、政権移行に向けたアサド政権と反体制派の交渉入りを目指している。

 ケリー長官の訪問は5月にウクライナ危機後初めてロシア南部ソチを訪れ、プーチン大統領らと会談して以来。ケリー長官は、前回訪問時に「ウクライナ東部の停戦合意が完全履行されれば、欧米の対ロシア制裁緩和に着手できる」と表明した。今回も「経済問題の前進が重要だ」とラブロフ外相に述べ、対応を促した。