日本のインド支援に、中国が“負け惜しみ”の偏向報道「共謀して核攻撃するつもりか!?」 | ニコニコニュース

イメージ画像(「Thinkstock」より)
日刊サイゾー

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。

 12月12日に行われた日印首脳会談において、インド政府は自国の高速鉄道と原子力発電所の開発に対し、日本側の技術提供を受けることを決定しました10月にインドネシアで中国の高速鉄道方式が採用されたこともあり、日本の皆さんは胸のすくような思いをされたかもしれませんね。この件は中国でも大きな話題を呼んでいます。

 2015年末から本格的に業務開始する予定だったAIIB(アジアインフラ投資銀行)は、主宰国である中国の財政難などを理由に、いまだに始動する気配はありません。もともと中国側は「新シルクロード計画」という野望を抱き、それがゆえにAIIBを発足させ、アジア・中東・ヨーロッパにまたがる巨大経済圏を作ろうとしていたのです。その一環として、中国が開発した鉄道網をユーラシア大陸中に張りめぐらす計画があったのですが、インドが日本の鉄道方式を採用したことにより、その計画は破綻しました。中国国民の反応をネットで見てみると、やはり「一帯一路(中国政府が提唱した経済圏構想)に支障を来す」といった反応が大勢を占めていました。

 それ以外にも「これから日本製品をボイコットしよう!」と、日本に対して怒りを向けてくる声。はたまた、日中の技術レベルの差は中国国民たちの間でも周知の事実だったこともあって、「日本の鉄道は高品質かつ低コストで開発可能」「中国政府は発狂しないように」と、インド側の選択を当然だという反応も見られました。僕としては、これまで中国が世界中に粗悪品を売りつけていた報いだと思います。

 さて、今回、インド政府が採用したのは、日本の高速鉄道と原子力発電所でしたが、この原子力発電所に関しては、中国国内において作為的な偏向報道が繰り返されています。

 南沙諸島問題などを理由に、現在、中国とインドの関係性は決して好ましくありません。インド側も日本、アメリカと合同軍事演習を行うなど、中国側を牽制するような活動を繰り返しています。中国はこうした事実を快く思っていないため、今回、機関メディアを利用し「日本はインドの核兵器開発を支援している」と、故意に原発開発と核開発を混同した報道を行っているのです。中国国民もこうした作為的な報道に存分に煽られています。

「これから日本とインドが手を組み、中国を核攻撃するつもりだ!」などと陰謀論めいた説を唱えると同時に、「日本には憲法9条があるのに、安倍晋三は核開発を推奨している」「安倍は福島の人々と平和活動家の声を無視している」と、猛烈な安倍首相批判をネットに書き連ねているのです。国民の反日感情を煽りたい中国政府の思惑通りといったところでしょう。僕は中国国民のヒステリックな反応を見て、日本の反原発派を連想してしまいました。

 平和活動家や市民団体など、日本には原発廃棄を訴え続ける人々が数多くいますが、そこには、広島・長崎の原爆投下による「核アレルギー」とでもいうべき心理が大いに関係しているようにも思えます。

「原発を推進するのは、日本が核武装を想定しているから」

 といった具合に、やはり中国国民と同様、日本においても原発と核武装を同一視するような意見が散見されるからです。

 ですが、原発と核兵器の共通部分は原子力を使用しているという点だけで、本来はまったく異なるテクノロジーです。当然、目的もまったく異なるため、双方を結び付けてしまうのは、原発関係者に対しても失礼な話のような気がします。そんなことをいえば、火力発電だって戦争と結びついてしまうはずです。平和や反戦を訴え続ける原発反対派ですが、あらゆる物事を戦争や兵器に結び付けてしまう彼らの発想こそが、危険性が高いものだと思うのは僕だけでしょうか。

 高い技術力は、日本の大きな利点です。今後も日本が自国の技術を各国に提供し続ければ、諸外国との友好関係を深める結果となり、日本側にとっては大きな利益につながるという一石二鳥の効果があるはずです。日本の優れた技術は、中国の粗悪なものよりもはるかに大きな満足感を世界中に与えることでしょう。安倍首相が行った今回の日印首脳会談は、「技術大国・日本」を発展させるための大きな礎になったと思います。

●そん・こうぶん
中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)がある。
https://twitter.com/sun_koubun