ファッションジャーナリストの「クールジャパン評」が的確すぎると話題に | ニコニコニュース

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12月15日、東京・半蔵門のホテルで、政府が推進するクールジャパン戦略の後押しをするための「クールジャパン官民連携プラットフォーム」設立総会が開催された。

「クールジャパン戦略」と言われてもボンヤリとしかイメージできない人も多いかもしれないが、これは、現在、世界的に評価されている日本の文化面でのソフト領域を「クールジャパン」と名づけ、これを国策として世界にもっとアピールしていこう、というもの。

「評価の高い文化面のソフト領域」の具体的な例としては、マンガやアニメ、ゲームなどがあるが、単純にオタク文化がそうだというわけではなく、小型・高性能でデザインの優れた工業製品、ヘルシーな食文化や自然と融合した生活様式、建築物、あるいは伝統芸能など、要するに、「日本らしい文化」として想起されるようなありとあらゆるものが対象。要するに、"ぶっちゃけた話"でいえば、日本文化を「クールジャパン」の統一ブランドにまとめて、もっとどんどん売り出しましょう、というのがその内容。

プラットフォーム設立総会では、島尻安伊子クールジャパン戦略担当大臣ほかの挨拶に始まり、今後のクールジャパン戦略のあり方などを論じるパネルディスカッションも行われた。

話題となっているのは、そこにパネリストとして招かれたアメリカ出身、文化服装学院卒のファッション・ジャーナリスト、ミーシャ・ジャネット氏の発言。

端的に言えば、その発言は「自分から『これはクールだ』と押し売りしても、世界では共感を得られない」ということ。もちろん、日本のファッションシーンを世界へ発信するブログも主宰するミーシャ・ジャネット氏なので、日本の文化そのものが「クールじゃない」と言っているわけではない。付和雷同型の日本と違って、海外ではいきなり「これがクールだ」と言われても賛同は得られない。しかし一方で、すでにクールだと言われている日本の文化は確かにあるし、さまざまなよい取り組みを情報発信すれば、そんななかから「クールだ」と評価されるものもまた生まれてくる。国やプラットフォームの役割は、クールだと評価されたものを後押しする役に徹するべき、ということだ。

実際、「クールジャパン戦略」の流れをみると、「マンガやアニメなどのコンテンツ産業が海外で売れているから、それをどんどん売って、しかも便乗して他のものも売っちゃおう」の意図は明確ながら、政府の取り組みには「わからないのに無理しちゃってる」感がにじんでしまうのがちょっと苦しい。

初代クールジャパン戦略担当大臣となった稲田朋美議員が、2013年にパリで開かれた日本の「カワイイ文化」を紹介するイベント「Tokyo Crazy Kawaii Paris」でゴスロリ姿で登場、世のゴスロリファンの多くを(悪い意味で)打ちのめしたのは、その象徴的な出来事といえるかも。

そんなどちらかといえば「生暖かい目」で見られることが多い「クールジャパン戦略」だが、今回のミーシャ・ジャネット氏の発言は、そんな戦略の中心で開かれた会議の場で、そのモヤモヤさの中心を衝いたものといえそう。実際、ネット上では「よく言った」「確かに自分で言っちゃクールじゃない」などなど、賛同する意見も多数。さて、これで「クールジャパン戦略」が本当に「クール」になっていくことができればよいが。