織田信長の家系にゆかりがある宗教法人「桃巌寺」(名古屋市千種区)の資金約1億5000万円を、男性住職(91)と同居して介護している女性(68)が宝石などの購入に流用したとして、名古屋国税局が桃巌寺に所得税の源泉徴収逃れを指摘したことが19日、分かった。国税局は流用分が住職への給与に当たると認定し、重加算税を含め約7000万円を追徴課税した。

 関係者によると、寺の修繕費を捻出する名目で2013年に売却した土地の代金の一部が、宝飾品購入に流用された。国税局は昨年、桃巌寺を調査し、簿外で扱われた資金の流れなどを確認した。

 取材に対し、副住職は「2人は10年以上同居し、女性が寺の通帳や実印を管理していた。『流用はしていない』と話しているが、寺の修繕は一切されていない」と説明。刑事告訴を視野に、檀家(だんか)らと協議するという。