若者なら今すぐヨーロッパに移住したほうがいい8つの理由 | ニコニコニュース

Lifehacker

はじめまして。スウェーデンのストックホルム在住の両角達平(もろずみ・たつへい)といいます。日本生まれ、日本育ちの27歳日本人です。僕がスウェーデンにきたのは今から3年前の冬になります。静岡の大学を休学してスウェーデンの「若者政策」を学ぶべく、それまでの学生生活を中断して旅立ちました。留学先はストックホルム大学でした。留学中に、ベルリンでインターンシップをしたことがきっかけで、帰国後日本の大学を卒業し、再び同じベルリンのシンクタンクで働くことになりました。現在は、ストックホルムに戻ってきて大学にて国際比較教育という分野でヨーロッパ、スウェーデンの「若者政策」という領域の研究をしています。また、スウェーデンに戻ってきたのは、日本で就職することに疑問をもったことと、もう少し勉強を続けたいと思ったからでした。

ベルリンとストックホルムを行き来して、ヨーロッパに住んでかれこれ3年以上経ちますが、その中で、日本の若者は窮屈な日本を飛び出してヨーロッパに来て羽を広げたらいいのではないかと思うことが多々ありました。それはこちらの若者政策を研究していることもありますが、それ以上に自分自身も同じ「若者」として肌で感じることが多々あるからです。

今回は、そんな僕が日本の若者にヨーロッパ移住をオススメする8つの理由をご紹介します。

【大きな画像や動画はこちら】

1. 留学が無料

僕がスウェーデンに留学した当時は、大学間協定がなかったため私費留学するしかなかったので、学費は払いました。日本の国公立大学と同じくらい額です。

しかし、ヨーロッパには留学生でも学費が無料な国がいくつかあります。ノルウェー、フィンランド、そしてドイツがそうなのです。本国の学生のみに限らず、外国人留学生も無料なので日本人の学生でも無料なのです。スウェーデンなど、一部ヨーロッパ以外の学生の対しては学費を課す国も中にはありますが、基本的には英語圏と比べると安い傾向にあります。海外留学をしようと思っている人は、アメリカやイギリスなどの英語圏の大学に目が向きがちですが、英米の大学は留学生も高額な学費を要求されます。ノルウェー、ドイツ、フィンランドでは英語で学べるのも大きいポイントです。

高い学費に悩まされずにヨーロッパで留学しましょう。

2. ヨーロッパ旅行が格安

ヨーロッパに住むのが楽しいのは、なんといっても旅行です。「ユーレイルパスで欧州横断!」のイメージが強いですが、最近では鉄道よりも格安LCCです。

ヨーロッパでは格安航空会社、LCC(ローコストキャリア)がびっくりするくらい安いです。例えば、格安航空券を横断検索できるスカイスキャナーでストックホルムからポーランドまでの往復チケットを探すと一番安い月で2000円前後とかで買えてしまうわけです。しかもシェンゲン圏内なら余計なパスポートなどの出入国審査が全くないので、空港での乗り降りもスムーズ。ユーロゾーンなら通貨すら替える必要がありません。

旅行で訪れた、グダンスク(ポーランド)の旧市街

3. 生活コストも安く済む

ご存知、北欧は物価が高いですが、東欧を中心に物価が安い国はヨーロッパでも多くあります。その中にドイツの首都ベルリンも含んでもいいでしょう。もともと東ドイツに属していたこともあり、首都なのにドイツ国内の他の主要都市よりも物価が安いのです。ゆえに、アパートの家賃も安いです。かつ部屋はとんでもなく広いです。僕が住んでいたアパートは、ベッドルーム(約12畳)が2つ、リビング(約20畳)、キッチンダイニング、バルコニーで2LDK 2人でシェアで350€(約4.7万円)でした。場所も、中心街アレキサンダープラッツまで電車で3分でした。これでもベルリンではいい値段のほうです。小柄な日本人には天井も異様に高いので、十分すぎる広さでした。

しかし、今はストックホルムでもベルリンでも住まい探しが一層難しくなっています。ベルリンでは「あっとベルリン」などで住宅情報がシェアされていますが、一番は現地人とFacebookでつながったりして情報収集をすることでしょう。ストックホルムでの「住活」方法も、基本的には同じです。

毎週日曜日、カラオケ大会が開催されるマウアー公園(ベルリン)

4. 有給のインターンシップができる

最近では、海外の留学先でインターンシップを探して、仕事の経験を積もうとしている日本人留学生が増えているように思います。ヨーロッパでは基本的には、インターンシップが職探しの足がかりになりますので、在学中のインターンシップが一般的です。大学の単位として換算してくれるところもあります。僕も留学中に、3つの団体でインターンを経験しましたが、やはり座学とは違い本当に学べることが多いです。というか、せっかく西の果てまできたのですから、留学生になるならインターンまでやりましょう。「トビタテ留学JAPAN」などの留学制度が充実し始めている今、留学生の数はこれから格段に増えるでしょう。留学だけして大学のコミュニティだけに引きこもっていては、「ソトコモリ」になるだけで、現地のことをどっぷり学ぶことができず、評価されるはずもありません。

しかもヨーロッパなら、インターンシップでも給料がもらえる可能性があります。基本的には団体や会社によって異なりますが、現地で生活するに足りる額の給料を支給してくれる団体もあるので、無給ボランティアを前提にする必要はありません。

他にも「Erasmus + Traineeship」というEUが提供しているプログラムは、基本的にはヨーロッパの学生が自国以外の国でインターンシップをしたときに、現地での生活費を支給するというプログラムで、日本人の僕でも利用することができました。この夏にベルリンの団体をインターン先にして申請したところ、なんの問題もなく通過しました。給付額は物価指数などを考慮して、国によって異なりますが、ドイツは5万円くらいでした。この給付金が助かるのは、団体や会社から給料が出るときは給付を受けられないなどの制約がないことです。つまり給料プラスアルファでもらえるのです。こういった機会がまた就業の機会を高めてくれます。

5. 「就活」なんてない

そもそも日本のような就職活動というもの自体ありません。大学の何年生になったら、一斉にリクルートスーツを着て、就活対策講座に出席して、合同説明会に出て、面接いって、みたいのはありません(キャリアプランのアドバイスがもらえる大学のセミナーなどはあります)。そうでなく、仕事は基本的に自分で探してありつくものです。タイミングはバラバラです。狙っているポジションが空いたらアプライするだけです。上述しましたが、インターンシップがそのまま仕事になることもあります。僕はまさにこのパターンで、ベルリンで有給インターンを経て、同じ団体で期間限定でフルタイムで働きました。どうやってありついたかはこちらの記事を参考にしてください。

さらに仕事は「現地で探すもの」という固定観念を捨てるともっと就業の機会に恵まれます。例えば、海外の就職先を紹介している就活サイトも多くありますし、海外在住の日本人にしかできない仕事もネットとパソコンさえあれば「自分でつくりだす」ことすらできます。

余談ですが、ウェブ制作、デザイン、ライターなどフリーランスで仕事ができる人はベルリンへ飛ぶことをオススメします。こちらの記事でも書きましたが、理由は、ワーキングホリデービザ後もフリーランス、アーティストビザが取得可能、ドイツの首都なのに生活コスト・物価が安い、スタートアップが盛り上がってる、ヨーロッパの若者に人気なので面白い人に会える、からです。

日本の仕事に対する固定観念をパラダイムシフトさせましょう。

6. クラブがアツい

若者の夜遊びは、日本がカラオケなら欧米はクラブ!です。クラブシーンは、今は特にヨーロッパが盛り上がっています。テクノのメッカといわれるアングラなクラブシーンはベルリン、正統派ポップやプログレッシブハウスはスウェーデン、そしてロンドンのドラムンベースにダブステップ。そして忘れちゃいけないのが、世界最大級のEDMフェス、ベルギーのトゥモローランドに、泡パーティの元祖スペインのイビザ島。

音好きの若者ならヨーロッパのクラブライフを一度は楽しみましょうよ!

ストックホルムのミュージックフェスにて

7. 英語でなんとかなる

よく聞かれるのが現地語の習熟度です。ドイツ語、スウェーデン語が話せなくても大丈夫かということですが、大丈夫です。フランスやスペイン、イタリアなどのロマンス諸言語圏で特に田舎となると、確かに英語を話さない人はいますが、ドイツやスカンジナビアなどのゲルマン諸言語圏なら、基本的には、みなさん話せます。大都市となると国際的なので基本的には英語だけで大丈夫です。旅先のホステルでも留学先の大学でも、インターナショナルなコミュニティにおいては英語が共通言語ですので、英語圏じゃなくても英語が主要言語になりますし、それで充分やっていけます。というか英語を聞くのも話すのも慣れてない日本人には、英語ネイティブだとレベル高すぎてついていけない場合が多々あるので、第二言語で使われている英語くらいが丁度いいです。

8. 人生のびのびできる

留学、仕事などしやすいと上述しましたが、そんなことせずぼ〜っとしててもいいよという雰囲気を感じられるのがヨーロッパです。日本では年齢が若いうちに大学・専門学校に入学して、すぐに卒業していい職業に就くことが美徳とされてているように思いますが、その考え方は儒教圏で特に強いように思います。一方でスウェーデンでは、高校卒業後は、好きにバイトをし就業経験を積んだり、旅行をしたり勉強をしたりしてやりたいことをしています。ギャップイヤーというやつです。そして、ある程度自分がやりたいことが明確になってから大学に入学するので、大学生の平均年齢は高いです。OECDによると、大学に入学する学生の平均年齢は日本は19 歳ですが、スウェーデンは25歳です※。ですので日本人の留学生がスウェーデンに留学すると、他のヨーロッパの学生と比べて年齢が圧倒的に若いのです。

ストックホルムの夏は長いので日光浴で暇をつぶす

さらにスウェーデンでは大学もそもそも学費がかからないので、「卒業しなくきゃ」というプレッシャーもなく、もちろん日本のような「一発勝負型」の大学受験はありません。高校の成績で評価され、かつこの高校の成績というのは卒業後にも上げることができるのでやり直しが効くのです。つまり、大学入学後に年齢のプレッシャーもなく自分のやりたい進路を若者が選べることができるようになっています。総じて融通が利くので、仕事をしながら大学に通う人も多くいます。

まとめ:若者にとってヨーロッパが住みやすい理由

現在の日本社会では、戦後の高度経済成長下において築かれた、ライフコース(人生の基盤)が大きく変わろうとしています。90年代後期からニートやフリーターが急増し、不安定就労者が増え、所謂「いい大学に入って、いい企業に勤めて、男性は会社で出世を目指し子どもの養育費を稼ぎ、女性は家事と子育てそする」という伝統的なライフコースが崩れてきました。一方でIT革命以降、パソコン1台とネットだけで仕事ができるようになったり、日本でも「同性パートナーシップ証明書」が渋谷区で交付されるようになったり、と若者の生き方も多様化してきました。

子どもから大人になる人生の「移行期」を司る若者を対象とした公共政策のことを「若者政策」と呼びますが、ヨーロッパではこの若者政策が日本よりも数十年早く包括的に推進されてきた歴史があります。一方的に伝統的なライフコースを押し付けるのでなく、多様な彼ら・彼女ら若者の今日の生き方を認めて、一人一人が生きやすい社会を作っていくことをEUは2000年代初期に方針を定めました(上述した、Erasmus TraineeshipなどはまさにEUから直接支援されている政策の1つです)。つまり、ヨーロッパが若者にとって住みやすい理由には、その文化的背景のみならず、EU共通の目標として、また公共政策として推し進めてきた大きなバックボーンがあることも多少影響していると言えなくもないのです。

ヨーロッパが若者にとって生きやすい場所であるというのはこういう背景があるのです。そして、この3年間の欧州在住でそのような若者や、社会を観察し、自身も一若者として生活して体験したことで、そのように感じています。

もちろん、ヨーロッパに移住するきっかけをつかむことは容易いことではありません。日本からの留学生も、ほとんどが日本に戻って就職しているように、結局、日本の心地良さは私たちの「デフォルト」になっているからです。そして日本は、ヨーロッパ人にとっては地理的にも遠いこともあってやはり「遠い異国の人」であり、それ故に私たちが知らないヨーロッパの「常識」に時々ついていけず、辛い思いをすることも少なくはありません。

しかし、それはトレードオフにすぎません。日本にいるだけでは逆に会えない価値観、人々、そして新しい自分に出会えるでしょう。地方移住がブームですが、結局は同じ「日本」なので、言語も文化も違う海外に飛び出さない限り本当の意味で「環境」を変えたことにはなりません。

あなたが日本の若者なら、ヨーロッパで生活することは、真剣に検討する価値があることだと、私は思います。

著者プロフィール

両角達平(もろずみ・たつへい)|Tatsumaru Times

長野育ち、ストックホルム在住のゆとり世代の日本人。ヨーロッパ・北欧の社会、若者、若者政策を研究。ストックホルム大学国際比較教育修士課程に在籍。現地のIT企業で働くかたわら、スウェーデンの若者政策、ユースワークの視察・通訳や翻訳などにも携わる。個人ブログ「Tatsumaru Times」の運営者。

Photo by Devteev / Shutterstock.com