自ら性器を切り落とそうとした3歳の少年 ― 英国史上最年少の性転換、家族の奮闘 | ニコニコニュース

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TOCANA

 今月初旬、ある少年に関する衝撃的なニュースが海外メディアで流れた。

 スコットランドに暮らすケリー・マクファディエンは、2歳年上の夫と5人の子どもに囲まれて幸せな生活を送っていた。ある日、ケリーは当時3歳だった息子のダニエルがバスルームにいるのを目にした。

 それは、ありがちな日常のひとコマで特に気にとめなかったが、ふと振り返った瞬間に彼女は驚愕した。なんとダニエルがハサミを手にして、今にも自分の性器を切り落とそうとしていたからだ。想像してほしい、もしこの時のダニエルが自分の息子だったとしたら、あなたは平然としていられるだろうか? もちろん、母親のケリーは息子からハサミを取り上げ、できる限り感情的にならないよう、なぜそのような事をしていたのか理由を尋ねた。

「女の子になりたいの」

 3歳の少年は、余分な性器が無くなれば女の子になれるのだと本気で信じていたのだ。ケリーには、この息子からの告白に思い当たるフシもあった。ダニエルは兄や姉と比べて引っ込み思案で口数の少ない、物静かな子供だった。そして、男物の服を着ることを嫌がることもあった。それはダニエルが成長すれば解決する問題だと思っていたが、実は自分の息子は常に大きな悩みを抱えていたのではないかと、ケリーは気付かされたのだ。

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■ダニエルが望む生き方を

 女の子になりたいと思い悩む3歳児にどう接するべきなのか、夫妻は専門家の意見を求めることにした。ダニエルを診察した医者が下した診断は、やはり性同一性障害だった。少年は女の子でありたいという気持ちと、身体が男である現実に葛藤していたのだ。

 性同一性障害がなぜ起こるのか、詳しい原因は明らかになっていない。これまでは心理的な要因が性別への違和感を生じさせるのだと考えられていた。だが最近の研究では、子宮の中にいる時のホルモンバランスなどが原因となって、発達に差異が生じているのではないか、とも言われている。

 初期症状としては、子どもの時、性別に合った服を着ることを拒んだり、男の子ならスポーツに関心を示さなかったり、女の子は人形遊びなどを嫌がる傾向がある。最近発表された平等人権委員会による調査では、人口の1%が自分の性別について悩んだ経験があるという結果も出ている。

 心と身体で性別が一致しないと、常に居心地の悪さを感じたり過度のストレスを抱えてしまう。診察を担当した医師は、ダニエルの希望を第一に考え、それを周囲が受け入れることが大切だとアドバイスした。

「私たち夫婦は、ダニエルが女の子として生きて行く事によって、いじめや差別を受けないか気掛かりで、何が最良の選択なのか悩みました。しかし、私たちはダニエルが望む生き方をさせてあげるべきだと決断しました」

 3歳の少年ダニエルは、少女ダニーとして生まれ変わった。

 髪を伸ばし、可愛い服を着てバービー人形で遊ぶダニーは、内向的だった性格も一変して明るくなった。


■学校側も協力

 現在、6歳となったダニーは女性ホルモン剤を服用し、女の子として学校へ通っている。両親は学校や生徒の親へ、ダニエルが性同一性障害を抱え、女の子として生活していることを理解してもらえるよう訴えた。それは概ね好意的に受け入れられ、ダニーが快適に学校生活を送る事ができるよう、男女兼用のトイレも設置された。

「私のことを悪い母親だと思う方も大勢いるでしょう。だけど子どものことを考えれば、私の決断は間違っていたとは思いません。今のダニーはとても幸せです。男の子だった時とは違い、彼女は太陽のように輝き始めました」

 両親は、これから思春期を迎えるダニーがどのように成長していくかを見守り、18歳になった時に性転換手術を受けるかどうか、本人に委ねると言う。

「わたしは女の子の頭と男の子の身体を持ってるの」

 これは自己紹介でのダニーの決まり文句だ。
(文=狐月(きつつき)ロボ)


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