不況深刻、五輪に波及=支持率低迷で混乱拍車―苦境の大統領、就任1年・ブラジル | ニコニコニュース

 【サンパウロ時事】ブラジルの深刻な不況が2016年リオデジャネイロ五輪に暗い影を落としている。開幕を約8カ月後に控え、観客の足となる地下鉄の建設を進める州政府からは「資金が足りない」との声が出始めた。地元組織委員会は経費節減に向け、予算の見直しを急いでいる。南米初の五輪成功を目指すルセフ大統領の支持率は低迷し、政権交代を求める野党への対応に苦しんでいる。難局打開の見通しは立っていない。

 「政治的、経済的困難が五輪に与える影響は避けられない」。国際オリンピック委員会(IOC)のリーディー副会長は9日、スイスでのIOC理事会で、混乱が続くブラジルへいら立ちをあらわにした。

 16年1月で政権2期目発足から1年を迎えるルセフ氏が直面するのは、最大の貿易相手国、中国の景気減速などを背景とする経済危機だ。失業率は1年間で2倍近くに上昇し、年間10%を超える物価高騰も国民生活を直撃。不況は長引く見通しで、政界を広く巻き込んだ汚職スキャンダルの混乱も不人気に拍車を掛けている。

 中でも、主力の石油産業が集まるリオデジャネイロ州の財政危機は深刻だ。税収が大きく落ち込み「全州で最大の財政赤字」(ペザオン知事)を抱える。公営病院には十分な医療機器や薬を買う予算がなく、閉鎖に追い込まれた診療所もある。