80年代エッチマンガのレジェンド前編『Oh!透明人間』『ハートキャッチいずみちゃん』 | ニコニコニュース

左『Oh!透明人間』(中西やすひろ/講談社)、右『ハートキャッチいずみちゃん』(遠山光/講談社)
日刊サイゾー

『Oh!透明人間』『ハートキャッチいずみちゃん』『やるっきゃ騎士』『いけない!ルナ先生』……1980年代に少年誌に連載され、少年たちの股間を熱くした伝説のエッチマンガ4作品。日刊サイゾー読者の中にも、お世話になった人がいるんじゃないでしょうか。僕はこの4作品を80年代エッチマンガの“ファンタスティック・フォー”と勝手に命名しているわけですが、今回はそのうち『Oh!透明人間』と『ハートキャッチいずみちゃん』について、どんな作品だったっけ? と皆さんに思い出していただくべく、ご紹介します。

『Oh!透明人間』(講談社)の作者は中西やすひろ先生。中西先生のその他の代表作としては『温泉へゆこう!』『めぐり愛ハウス』などがありますが、圧倒的知名度を持つ作品といえば、やはりこの『Oh!透明人間』をおいてほかにありません。

 もし、男の子が透明人間になる能力を持っていたとしたら……。とりあえず、女子更衣室とか女風呂に潜入するに決まってますよね。そんな健全な男子の願望をダイレクトにかなえたエッチなマンガ……これはヒットしないはずがありません。実際、本作品は当時の「月刊少年マガジン」(講談社)の部数を爆発的に底上げした立役者でもありました。

 作品の設定は、女だらけの家に居候する高校生の主人公、荒方透瑠(あらかたとおる)が、イクラを食べると透明になれるという超能力をフル活用し、ヒロインの良江ちゃんをはじめとした女子たちにエッチないたずらをしまくるというドタバタラブコメディです。透瑠という、いかにも透けそうな名前もナイスですよね。

 しかし、この透明人間には、興奮すると元に戻ってしまうという致命的な弱点があります。あまりにハイリスクハイリターンな能力。しかし男子たるもの、そんな危険を冒してでも女風呂がのぞきたいもの。この男子が持つピュアなリビドーこそが、『Oh!透明人間』という作品のパワーの源なのです。

 やはり特筆すべきは、透明人間だからこそ実現可能な、伝説のエッチシーンの数々。女子更衣室、女風呂に潜入するのは日常茶飯事として……。

・日焼けマシーンの中に侵入し、素っ裸でいたずらする
・獅子舞の中に潜り込んで、おっぱいを触りまくる
・コインランドリーの中に閉じ込められた状態でグルングルン回る

などなど、ハイレベルすぎるシチュエーションも登場。長期連載作品だけあって、エッチなシーンのインフレが半端じゃありません。

 作品後半では、ヒロインの良江ちゃんが強盗に襲われる、吊り橋が崩落する、ロープウェイのゴンドラが墜落するなど、さまざまなトラブルに遭遇。透明になった透瑠君による『ダイ・ハード』顔負けの救出劇があるのですが、ここで手を放したら落ちる! という状況にありながら、「これはパンツを脱がすチャンス!」という衝動が抑えられず、「脱がす→手が離れる→落ちる」といった様式美が展開されます。自分の命よりもエロを優先する透瑠君の姿勢は、今どきの草食系男子にぜひ見習ってほしいハングリーさです。

『ハートキャッチ』(講談社)といえば、平成女子にとってはプリキュアですが、昭和男子にとっては遠山光先生の『ハートキャッチいずみちゃん』ですよね。『Oh!透明人間』と共に、80年代の「月刊少年マガジン」を盛り立てた作品で、主人公の原田いずみと幼なじみのエッチな男子・明智菊丸を中心としたドタバタラブコメディです。

 ヒロインのいずみちゃんは、人の心が読めるというエッチマンガとしては反則すぎる超能力を持っており、いずみちゃんにエッチなことをしようとするスケベな男子たちは最後の最後に超能力で心を読まれ、ことごとく寸止めで涙をのむのです。

『いずみちゃん』の特徴は、エロ男子・菊丸による趣向を凝らしたオールラウンドな女体いじりで、エッチなシチュエーションのバラエティの多彩さはある意味、『Oh!透明人間』をも凌いでいるといえます。具体例を挙げると、

・女体をゴルフコースに見立てて、グリーン、バンカー、池などを設置する「女体ゴルフコース」
・車のフロントガラスに張り付いたおっぱいがワイパーで左右に揺らされる「おっぱいワイパー」
・乳首に針をつけて壁にはめ込こんだ「おっぱい壁時計」
・数珠つなぎになった豆電球で大事なところを隠す「豆電球水着」
・股間と股間の間に張り付いた餅をはがそうとして、押したり引いたりしている間に餅がつきあがる「股間餅つき」

などなど、思春期男子にとっては神シチュエーションのオンパレード。とにかく女体のエロ表現に対する情熱は、計り知れません。

 ちなみに遠山先生の代表作としては、犯人が近くにいると乳首がピキューンと立つ女刑事のマンガ『胸キュン刑事』もあります。乳首を使って犯人解決という設定は画期的すぎて、特許申請してもいいレベルです。

 こうやって紹介してみると、今だったらわりとシャレになってないような過激なシーンがてんこ盛りなわけですが、80年代少年マンガにおいてはエロ描写の免罪符となる重要なキーワードがありました。それは「寸止め」。少年誌においては、裸は出てくるけど性行為シーンはない、女性器は描かないといった「寸止め」が鉄則なのです。『Oh!透明人間』における興奮すると元に戻るギミックや、『ハートキャッチいずみちゃん』のスケベ心が読めてしまう超能力などの設定が、ここで効いているのです。

 作品を読めば、絶対に見えてなきゃおかしい女性の股間部分が、他のキャラの頭や、お風呂の泡、お尻側からのアングルなどで巧みにカバーリングされていることがわかると思います。少年エッチマンガの巨匠は「股間隠しの匠」といっても、決して過言ではなかったのです。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<<a href="http://ablackleaf.com/"target="_blank">http://ablackleaf.com/>)