風俗通いが妻バレ!「セックスレス」だから「不貞行為ではない」は通用する? | ニコニコニュース

風俗通いが妻バレ!「セックスレス」だから「不貞行為ではない」は通用する?
弁護士ドットコム

夫の風俗通いは離婚理由になるのか―—。新年早々、ややヘビーなテーマでお送りします。

ネット上に、ある男性がこんな書き込みをしました。「妻に半年間セックスを拒否されています。先日、我慢できず風俗に行ったことがバレ、離婚を切り出されました。風俗に行くことも『不貞行為』になってしまうのですか?私は離婚する気はありません」

妻にセックスを拒否されたのだから仕方ないと言えるのか?それとも、「不貞行為」として離婚理由になってしまうのか?長瀬 佑志弁護士に、詳細な解説をしていただきました。

A. 風俗も不貞行為です。慰謝料を請求される可能性も。

風俗での性行為も、不貞行為として離婚の原因になります。

ご相談者は、妻からセックスを拒否され続けたために、止むを得ずに風俗に行った、と弁明しています。しかし、そのような事情があったとしても、風俗での性行為が不貞にあたることは変わりません。妻が「離婚したい」と譲らず、裁判にまで発展した場合、ご相談者は劣勢に立たされるでしょう。

妻がいながら風俗を利用した人の中には、「風俗は遊び。本気の恋愛ではないから、不貞行為にならないはずだ」と主張する人もいます。しかし、不貞の有無は、あくまでも客観的な事実をもとに判断されます。夫側が「あくまで遊びだった」と主張しても、裁判所が認めるかは疑問です。

なお、不貞には、「性交」だけでなく。オーラルセックスのような「性交類似行為」も含まれます。いわゆる「本番行為」がない風俗でも、その他の性的サービスを受けた場合は、不貞行為にあたるとされます。結論として、妻と離婚したくない夫は「風俗に行かないほうがいい」と言えるでしょう。

風俗に行くことは不貞行為に該当するため、ご相談者は妻から慰謝料を請求されることも覚悟しておいた方が良いと思います。ただ仮に、十年以上など長期間セックスを拒否され続け、夫が風俗に行く前から「婚姻関係が破綻していた」ならば、必ずしも妻の慰謝料請求に応じる必要はないでしょう。

ただし、婚姻関係の破綻が裁判所に認められるためには、通常は別居していることが求められます。ご相談者のように、妻と同居し、セックスレス以外に特殊な事情がないとすれば、夫側は苦しい立場にあります。妻から慰謝料請求されたら、拒否は難しいでしょう。

なお、本件に関連する裁判例として、クラブのママがいわゆる「枕営業」として顧客と性交渉を繰り返したものの、妻との関係では不法行為を構成しないと判断した東京地判平成26年4月14日があります。この東京地判に従えば、本件でも夫は不法行為責任を負わないと考える余地もあります。もっとも、この東京地判は、これまでの最高裁判例の理論とも整合しないため、どれだけの先例的意義があるかは疑問があります。

【取材協力弁護士】
長瀬 佑志(ながせ・ゆうし)弁護士
弁護士法人長瀬総合法律事務所 代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)
「ノンストップ!」、「ZIP」、女性セブン、週刊ポスト等メディアに出演。年間100件以上の離婚関連の相談を担当するほか、夫婦カウンセラーの資格を取得し、精神的サポートも心掛けている。
事務所名:弁護士法人長瀬総合法律事務所
事務所URL:http://nagasesogo.com/