評論家ヨシダ・ヨシエさん死去 「原爆の図」巡回展示

 死去したヨシダ・ヨシエさん(1965年撮影)
共同通信社

 1950年代初めに「原爆の図」を携えて全国を巡回した美術評論家のヨシダ・ヨシエ(本名吉田早苗=よしだ・さなえ)さんが4日午前0時14分、脳梗塞のため埼玉県鶴ケ島市の病院で死去した。86歳。福島市出身。

 戦後、画家丸木位里・俊夫妻と出会い、原爆投下直後の惨状を描いた連作絵画「原爆の図」の共同制作を間近で見た。被爆の実態が明らかにされていなかった米軍占領下に、友人で画家の野々下徹さんとともに「原爆の図」を背負って草の根的に全国を巡回展示した。

 美術批評誌などに美術論を精力的に執筆。「丸木位里・俊の時空」など著書多数。