何年たっても色あせない! 日本人なら読むべき名作漫画ランキングTop10 | ニコニコニュース

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漫画大国日本にあって、星の数ほどある漫画。その中でも、発表当初に注目と支持を集めたのはもちろん、時代を越えて、20年?いえ100年先でも読まれ続けるにちがいない名作漫画を、ランキング形式でご紹介します。

■第10位『動物のお医者さん』

北海道にあるH大学の獣医学部を舞台に、「動物のお医者さん」未満の個性豊かな学生たちの日常を描いたコメディ。主人公の西根公輝は物事に動じない性格、ひょんなことからH大学の漆原教授からシベリアンハスキーをもらいうけることになる。同級生の二階堂昭夫とともに、その後H大学に進学。動物にまつわる騒動を繰り広げる。

当時、シベリアンハスキー犬のブームや、H大学のモデル北海道大学の志望者が上がるなどの現象にも影響を与えました。 作品の魅力は、獣医学部ならではのできごとの興味深さや人物造形のユニークさ。ネズミ嫌いなのに獣医学部に進むことになった二階堂や、マイペースで痛覚が鈍い先輩の菱沼聖子、アフリカ好きの漆原教授など、主要人物だけでなく、獣医学部に出入りする人物、またその家族がそれぞれ特徴を持って描かれます。さらには登場する動物たちも個性的。穏やかな性格の飼い犬チョビや、気の強い猫ミケ、凶暴なヒヨちゃんなど、その行動のおかしさ、ほほえましさにはくすりと笑ってしまうはずです。

著者:佐々木倫子
連載:1987年~1993年
連載誌:花とゆめ
出版社:白泉社
単行本:花とゆめコミックス全12巻/白泉社文庫全8巻/愛蔵版全6巻

■第9位『タッチ』

アニメ化のほか、実写のドラマ、映画化もされており、懐かしのアニメ番組では必ずといっていいほど登場する名作。上杉達也と和也は一卵性の双生児でありながら、性格の違う兄弟。勉強に野球に打ち込む和也に対して、達也は何に関してもいい加減な態度。隣りの幼馴染である浅倉南と微妙な三角関係を崩さないまま同じ高校に進む。ストーリーの軸は、甲子園を目指した高校野球、そして浅倉南を交えた恋愛。物語は、和也が突然の事故死を迎えたところから大きく動き出す。

野球漫画であるものの、それまでのスポ根ものとは大きく違い、絵のタッチやストーリー展開は軽妙なもの。野球というスポーツを深く知らなくても、ラブコメディという方面から楽しめる作品です。主要人物の死という深刻なできごとがあり、主人公はそれに影響を受けた道を進むという展開ながらも、重くなりすぎない作風はこの作者ならでは。登場人物の感情を、饒舌なセリフやわかりやすい表情ではなく、定型的な手法でない独特の間で表現していて、心に伝わります。

著者:あだち充
連載:1981年~1986年
連載誌:週間少年サンデー
出版社:小学館
単行本:少年サンデーコミックス全26巻/小学館文庫全14巻

■第8位『あさきゆめみし』

源氏物語を原作とした本作品。時代は平安朝、桐壺帝の子として生まれながら、母親の身分が低かったために「源氏」の姓をもらうことになった光源氏が主人公の物語。光源氏は、帝の新たな妃に亡くなった母の面影を見て惹かれるが、結ばれるわけにはいかない相手。思うようにならない運命に、光源氏は、妃の親戚にあたる紫の上を引き取ったり、ついには妃と密通したり。年上の六条御息所、左遷された場所で出会う明石など、数々の女性遍歴を重ねていく。

なにしろ原作のストーリーが平安時代に書かれ、現在まで読み継がれている息の長い作品です。高貴な人々が主な登場人物とはいえ、遠い過去から現在に至るまで、人間の悩み、苦しみは変わらないものだと思わせてくれる物語。原作は思い切り気合を入れないと読み終えられませんが、漫画だと平安時代の生活や習慣、衣装などのイメージがすんなり頭に入ってきます。漫画作者の繊細なタッチも作品にぴったり。「源氏物語」のストーリーも把握できるので、昔も未来も受験生必携の書です。

著者:大和和紀
連載:1979年~1993年
連載誌:mimi/mimi Excellent
出版社:講談社
単行本:講談社コミックスmimi全13巻/講談社文庫全7巻

■第7位『寄生獣』

ある日地球外から飛来した多数の生物。小さく見た目に特徴のない謎の生物は、人間に入りこんで寄生し、入れ替わって擬態することで、他の人間を捕食していく。その生物に入りこまれたものの、脳を侵されることを偶然阻止した主人公泉新一は、右手だけに寄生されることなり、「ミギー」と呼ぶことになった生物と共生生活を送る。感情を持たないパラサイト(寄生生物)による人間の襲撃は続き、その正体を知る新一は、葛藤を抱えることに。身近な人の死を経験しながら、成長や変化を遂げていく。

地球外の生命体がやってくるという設定はよくあるものの、その生物の生態が特異です。パラサイト(寄生生物)たちは人間に寄生するという性質を持ち、高い学習能力がありながら、人間的な感情は理解しません。人間の身体の能力を超人的に発揮させて戦う様子は、残虐的。本作でひきこまれる部分は、ごく普通の主人公が、パラサイトに寄生されることにより、悩み葛藤していくところ。読み終えたところで、本当の寄生獣とは、の意味を深く考えさせられる作品です。

著者:岩明均
連載:1988年~1995年
連載誌:月刊アフタヌーン
出版社:講談社
単行本:アフタヌーンコミックス全10巻/講談社文庫全8巻

■第6位『BANANA FISH』

ニューヨークのストリートキッズのグループを率いるアッシュは、ある銃撃事件から「バナナ・フィッシュ」の謎を追い始める。ベトナム戦争をきっかけに廃人となった兄にも関わる、その言葉の意味するものは? 謎を追うことで、マフィアと敵対するように。類まれな容姿と能力を持つがゆえに過酷な運命に巻き込まれる主人公は、一方で、日本から訪れた奥村英二と出会い、信頼を寄せあうようになる。

因縁を持つコルシカマフィア、そしてチャイニーズマフィアの策謀入り乱れてのハードな戦いが見どころ。 少女漫画の範疇にありながら、女性はほとんど登場せず、恋愛の要素もなし。マフィアやストリートキッズといった世界に身を置き、男娼として扱われた過去を持ちながら、クールに生き延びるアッシュがとにかく魅力的。作品中では17歳から19歳までの2年間であるものの、連載期間の長さからか、絵柄がかなり変わっています。緊迫感のあるハードなストーリー展開に、奥村英二との唯一無二の関係が読者にとっても救いになり、読み始めると、目が離せません。

著者:吉田秋生
連載:1985年~1994年
連載誌:別冊少女コミック
出版社:小学館
単行本:フラワーコミックス全19巻/小学館文庫全12巻


■第5位『ちびまるこちゃん』

国民的なアニメとして、現在も放送が続いている本作品。「ちびまるこちゃん」が愛称である主人公は、もともと作者さくらももこを投影したもの。静岡県清水市で過ごした小学校3年生の時代を描いたコメディ。

ちびまるこちゃんが好きなタレントは西城秀樹、お姉ちゃんが好きなのは山口百恵といったところに、当時の時代が表れています。漫画の連載、アニメが長期化する間に、作品の世界観はそのままにフィクションの内容となってきました。 小学3年生といえば、行動範囲は学校と家庭が主。そんな小学生のなんでもない日常をコメディタッチに描いた、誰もが知っている作品です。アニメでは、主人公の心の声やナレーションで時折つっこみが入ります。漫画においてもそのつっこみこそが、この作品の特徴であり、笑える部分となっています。本来作者はエッセイ漫画を得意とし、始まった当初はその要素が大きかった本作、その魅力は日常にさりげないつっこみを入れられる作者の視点にあります。それまでの少女漫画にないスタイルを築いたのが、長く愛されている理由の1つでしょう。

著者:さくらももこ
連載:1986年~1996年/2007年~2011年
連載誌:りぼん/東京新聞
出版社:集英社
単行本:りぼんマスコットコミックス全16巻

■第4位『スラムダンク』

バスケット漫画の王道。赤い髪をして不良少年であった桜木花道は、高校入学後、バスケ部キャプテンの妹に誘われるまま、不純な動機で入部する。バスケ初心者でありながらも、身長の高さ、身体能力を活かし、バスケというスポーツの魅力にはまっていく主人公。初心者ゆえに基礎から練習をこなし、試合を通じて成長していく。監督安西光義のもと、バスケ部の先輩仲間たちと夏のインターハイ神奈川県予選を勝ち進み準優勝、そして広島でのインターハイへと進んでいく。

バスケというあまり描かれることのなかったスポーツをテーマにして、ルールをよく知らない読者をも夢中にさせた漫画です。描かれている時の流れは、高校入学からその年のインターハイまでと半年ほど、実は短いのに、あまりに濃密な時間が流れているような思いがするのは、試合の熱さのせい。迫力ある動きの絵や先が気になる展開、数秒にかけるコマ数の多さなどによって、バスケの試合そのものの面白さが熱く伝わってきます。この作品によってバスケを始めた人も多いのでは。

著者:井上雄彦
連載:1990年~1996年
連載誌:週間少年ジャンプ
出版社:集英社
単行本:ジャンプコミックス全31巻

■第3位『ベルサイユのばら』

時代背景は、フランス革命前から革命前期。フランス王宮を舞台に、マリー・アントワネットやルイ16世ら実在の人物、実際の事件を基にしながら、フィクションを描いていた作品。主人公は王宮で近衛士官を務めるオスカル。女性でありながら、将軍家の跡継ぎとして育てられたオスカルは、男装の麗人として、アントワネットやフェルゼンと出会う。

華麗な王宮の生活の中での秘められた恋、首飾り事件、そして革命へと向かう運命は、史実とフィクションを織り交ぜて劇的です。1974年以来、宝塚歌劇団で繰り返し公演され、人気を集めていることでも有名です。 王宮という華やかな舞台にふさわしい華やかな絵柄。フランス革命にまつわる史実自体が、ドラマティックなエピソードにあふれています。その上、フィクションである主人公オスカルの設定が男装の麗人であるということも、作品を魅力的にしている要素の1つ。フェルゼンへの想い、作品後半のアンドレとの恋も順風満帆とはいきません。史実であるゆえにストーリーは半ばわかってはいても、運命に翻弄される悲劇に、心を揺さぶられます。

著者:池田理代子
連載:1972年~1973年
連載誌:マーガレット
出版社:集英社
単行本:マーガレットコミックス全10巻/集英社漫画文庫全10巻

■第2位『ONE PIECE』

現在も連載が続き、アニメ、映画作品も多く発表されている人気作品。数々の発行部数の記録を持っています。物語は、海賊の活躍する世界が舞台。悪魔の実を食べたことによりゴム人間となった主人公モンキー・D・ルフィは海賊となり、そのトレードマークの帽子から、仲間ともども「麦わらの一味」と呼ばれている。かつての海賊王ゴールド・ロジャーが遺したと言われる「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を巡って、冒険ロマンが繰り広げられる。

国内はもちろん、海外での人気も高い理由は、国境を取り払って共有しやすいその徹底した世界観。世界政府で統治されているものの、世は大海賊時代とされ、悪魔の実を始め、さまざまな能力や亜人種、動物たちが設定されています。ルフィの仲間たちは、ゴム人間であるルフィはもちろん、三刀流の剣豪ロロノア・ゾロ、女好きで華麗な足技を決めるサンジなど、そのバトルシーンも目を引くもの。新しい冒険のや仲間との友情、戦闘シーンにギャグなど、少年マンガの王道を行く要素がちりばめられ、読者の年代を問わず、心躍るマンガです。

著者:尾田栄一郎
連載:1997年~
連載誌:週間少年ジャンプ
出版社:集英社
単行本:ジャンプコミックス

■第1位『火の鳥』

手塚治虫が初期の頃から手がけ、最期まで描こうとしたライフワーク。火の鳥とは、人智では計り知れない超生命体。宇宙生命(コスモゾーン)で形成され、炎で覆われた鳥の姿をしている。その血を飲んだ人間は、永遠の命を手に入れることができるという存在。火の鳥と関わりをもった人間のそれぞれの物語が、過去から未来、地球から宇宙まで、時代や舞台を変えて描かれている。編ごとに独立したストーリーを持ちながら、壮大な世界観で相互に関わりを持っている。

漫画の神様と呼ばれる手塚治虫の代表作の1つ。編によって扱われる時代もさまざまで、それぞれの巧みなストーリーに入り込むことも、作品同志のつながりを追っていくのも可能です。読んでいくごとに、設定された世界のスケールの大きさに唸らされます。どの時代にあっても存在する人間の悩みや苦しみ、業といったものが、火の鳥という存在によってあぶり出され、醜いと思うことも愛おしいと思うことも。人の生命や生き方について考えさせられ、圧倒される作品です。

著者:手塚治虫
連載:1954年~
連載誌:漫画少年/少女クラブ/COM/野生時代
単行本:朝日新聞出版全11巻+別巻/角川文庫全13巻/小学館クリエイティブ全11巻

いかがでしたか? 連載されている最新号を読むのもいいけれど、評価の定まっている名作をまとめて読んで没頭するのも楽しいもの。多くの人が認めている名作は、はずれがありません。読んでいない作品があれば、ぜひ手に取ってみてください。