ブラックホール「瞬き」見えた!=「アウトバースト」の光初観測―京大 | ニコニコニュース

 京都大は7日、ブラックホールに近接する天体が突然明るくなる「アウトバースト」という現象中に、肉眼で見える光の瞬きを捉えることに初めて成功したと発表した。同様の現象はこれまで、X線などでしか観測できていなかった。研究は英科学誌「ネイチャー」電子版に掲載された。

 京大理学研究科博士課程1年の木邑真理子さんらのグループは、ブラックホールの周囲を恒星が回り、不定期にアウトバーストが起きる「ブラックホールX線新星」のうち、地球に最も近い7800光年の距離にある「はくちょう座V404星」を観測。昨年6月、26年ぶりにアウトバーストが起き、世界15カ国の専門家らに呼び掛け、35台の望遠鏡で18日間、可視光を撮影した。

 この星の通常の明るさは18等星だが、現象中は最大で数百倍明るい11等星に。口径20センチほどの天体望遠鏡があれば目で見える明るさという。45分〜2時間半程度の周期で断続的に星が瞬く様子も確認できた。

 アウトバーストは、恒星のガスがブラックホールの重力に引き寄せられ円盤状にたまり、一気にブラックホールに流れ込むことで起きる。放出された高エネルギーのX線がガスに反射することで光り、X線の強さが規則的に変動するため、光も瞬いて見える。

 今回のアウトバーストは、過去に確認されたものよりX線の強さが10分の1程度だったが、変動を確認できたことも大きな発見という。木邑さんは「今後は、近くの天文台などでブラックホールの『瞬き』を肉眼で見られるかもしれない。ぜひ興味を持って」と話した。