中国の大豆生産が危機的状況に 価格競争で輸入品に勝ち目なし、自給率15%以下に | ニコニコニュース

サーチナ

 中国メディアの毎日経済新聞は5日、中国国内の大豆生産が危機的状況との記事を掲載した。安い輸入大豆に押されて自給率は15%程度に低下した。しかも、輸入を含めて需要を大幅に上回る大豆が市場にあふれているという。

 中国海関(中国税関)によると、2015年1-11月の大豆輸入量は前年同期比15,4%増の7257万トンだった。通年では8000万トンを超えたと考えれている。一方で、中国における大豆生産量は1235万トン程度だ。黒龍江省大豆協会の王小語副秘書長によると、中国における大豆消費量は5225万トン程度で、市場では約4000トンの大豆がだぶついている。

 しかも、生産コストで中国産大豆は輸入大豆に対抗できない。王副秘書長は「国産大豆は売る場所がなくなった」と認めた。

 中国における大豆の海外依存率は6年ほど前から80%以上になった。2013/14年には86%に達した。つまり自給率は15%を切った。中国は現在、全世界で生産される大豆の20%を輸入しているという。

 2015年には、全世界的に大豆が豊作だったことも、中国の大豆生産者には災いした。11月末の国際価格は前年同期比で13.1%値下がりした。中国における輸入価格は3等大豆の場合、19.78%値下がりした。

 現在、世界最大の大豆生産国は米国で、第2位はブラジルだ。両国とも作付面積を増やしつつあり、しかも2015年は天候が大豆の成長に有利だった。したがって、在庫量も過去最大になり、大豆価格の値上がりは当分見込めないという。

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◆解説◆


 中国国内で大豆の生産量が最も多いのは黒龍江省で、全国生産の3分の1程度を占めている。また、遼寧省でも大豆生産が盛んだ。

 中国の東北3省(黒龍江・吉林・遼寧)では、製造業などの不振が深刻だ。同地域は第二次世界終了までの満洲国時代には重工業もかなり発達し、中華人民共和国成立当初には、「中国で唯一、重工業が存在する地域」だったと言ってもよいほどだった。しかし1990年代には施設の老朽化が目立つようになった。さらに、北朝鮮が閉鎖的であるために、内陸省である黒龍江省と吉林省が「海への出口がない袋小路」状態であることも、経済発展の足を引いている。

 黒龍江省は中国の穀倉地帯でもあるが、主力農産品の大豆生産までが大きな打撃を受けることは、同省経済にとって深刻な事態だ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:CNSPHOTO)