IoT・AI以降の「第4次産業革命」の時代に求められる人材って?

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「第4次産業革命」って何?

18世紀半ばから起こった「第1次産業革命」は、工場制機械工業により社会を根本から変えました。主に軽工業から始まった産業の変革は、19世紀に石油と電力の活用による「第2次産業革命」に至り、大量生産・大量輸送の幕を開けました。そしていま、私たちが生きる現代は、ITの発展と生産の自動化などで産業構造が変化する「第3次産業革命」期と定義されています。

では、次に来る「第4次産業革命」とは? その革命でもたらされるのは、IoT(モノのインターネット)により、すべてのモノがインターネットでつながる世界。たとえば、工場内外のモノがネットワークでつながり、人工知能(AI)が生産を最適化させたり、より効率的な販売ルートを実行したりする世界なのだとか。そんな時代が、2025年以降にはやってくると言われています。

なんだか人間の居場所がなくなりそうな危機感も覚えますが……そんな時代にも活躍できる人材とはどんなスキルを持った人なのでしょうか? 一橋大学名誉教授で、グローバル人材育成の専門家である石倉洋子さんが「無限大(mugendai)」で語っています。

根底から変わる社会を生き抜く真のグローバル人材とは?


石倉さんが捉える現代の姿。それは、「境界がない時代」だといいます。国境、人種、年齢、性別、業界、組織などのあらゆる境界がなくなってきており、「最近では機械と人間の境界すらなくなっている」と指摘するのです。

家の掃除をロボットがやることに対して、いまや驚く人は誰もいません。スマホに話しかければ答えを用意してくれ、家庭用ロボットはより「人間的な」思考を目指しています。

テクノロジーの進歩によってあらゆる境界の意味が希薄になる中、グローバル人材の重要性はますます高まっています。しかし、石倉さんの定義するグローバル人材は、何も「世界に出かけてバリバリ行動する人」だけではありません

境界を越え、自分の属性という「箱」から出て、自分で考えて発信し、分野をまたいで新しいことに挑んでいく人。それがいま求められている人材です。IoTなどで膨大な情報が手に入り、コンピューターがビッグデータを活用し、機械が学習するようになると、人間はそれを使って何をすべきかという話になります。知識の量ではなく、情報を組み合わせ、新しいものを創り出すクリエイティビティが重要なのです。

「個」が見える時代に、いかに勝負していくか


「グローバル時代は、企業や学校といった所属組織ではなく、“個”で勝負する時代」と力説する石倉さん。では、「世界で勝負できる個」を磨くためには、どうすればいいのでしょう?

印象深いのは、「組織は個に機会を与える場である」という指摘です。前述したように、組織の境界は曖昧になり、テクノロジーの進歩によって「個」が見える時代になってきました。YouTubeには世界中から極めて「個」な動画が日々大量にアップロードされます。それが人々の琴線に触れる動画であれば、発信者の国や人柄などは関係なく、瞬く間に世界を動かすムーブメントになる。それが、境界のない世界であり、個は組織を越えて無限の可能性を手に入れたといえるのかもしれません。

人生とは、人と比較するのではなく、各人のユニークさを見つけて磨くこと」と語る石倉さん。世界と対峙し、個で世界と勝負していくために日本はどうすべきなのか。また、どのような教育で子どもたちを導いていくべきか。話は人材の育て方、企業経営のあり方、教育制度の問題点にまで及びます。

ビジネスのトップランナーから学生まで、すべての人が読んでおくべき「大切なメッセージ」。完全版は、「無限大(mugendai)」でご覧ください。


source: 無限大(mugendai)

(有賀久智)