ネタバレあり:僕が「フォースの覚醒」を嫌いなたったひとつの理由

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スターウォーズ エピソード7「フォースの覚醒」はもう見ましたか?

「最高!」という人もいれば「つまらない」という人もいるでしょう。期待値が高くファンも多いだけに、映画公開後に賛否両論が出るのは健全なことです。スターウォーズファンである、米GizmodoのRob Brickenさんによる辛口、いや、悲しみこもる感想をお届けします。

彼の意見はかなり主観的ではありますが、往年のスターウォーズファンなら共感するところもあるかもしれません。そしてネタバレありです。

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まず最初に断っておくと、スターウォーズ「フォースの覚醒」が嫌いなわけではありません。4日間で3回も見てますし、映画館での上映が終わるまでにはあと2回は確実に見ると思います。でも本作がどんなに好きでも、ひとつだけ非常に気に入らないことがあるのです。

それは「フォースの覚醒」は、ルーク、レイア、そしてハン・ソロのハッピーエンドを台無しにしたから。

エピソード6の「ジェダイの帰還」のエンディングの「その後、彼らは幸せに暮らしましたとさ」というハッピーエンドは、まるでスターキラー基地に破壊されたホズニアン星系のように、ことごとく消されてしまいました。旧三部作で反乱軍がデススターを破壊し、帝国を負かし、皇帝の暴政から銀河を救って訪れた平和が、戦いが再び始まる前のひとときでしかなかったということ。

もちろん、エピソード7に続く以上、こうなるのは避けようがないのはわかります。続編が発表されるということは、倒さなくてはならない悪役が必要で、ルークやその仲間は完全に世界を救ったわけではなかった。おそらく反乱軍をレジスタンスに、帝国をファーストオーダーに置き換えることで、ルーク達の功績をなかったことにしないように配慮はされているのでしょう。でもストームトルーパーの存在や、軍服を着たイギリス人の命令で星が一個まるまる破壊されてしまうような状況を見ると、結局はルークたちが成し遂げたことはたいしたことじゃなかったのかと悲しくなってしまいます。

エピソード5「帝国の逆襲」や、エピソード6 「ジェダイの帰還」など、スターウォーズと一緒に育ってきた世代として、旧三部作における反乱軍の勝利や功績をさかのぼって正当化することができないのは悩ましいところ。それ以上に悲しいのが、旧三部作での数々の戦いや勝利にも関わらず、それ以降のルークやレイア、ハン・ソロの人生が、基本的には惨めであることを本作が決定付けていることなのです。

「惨め(miserable)」という言葉がぴったりハマると僕は思っています。ハン・ソロとレイアなんて、彼らの子どもがダークサイドに堕ちてしまって、これがトラウマになって別々に生きることになっていた。ルークはジェダイ復活に失敗しているし、多くの人が死んでいくなか、甥っ子がダークサイドに堕ちてしまうのを防ぐことができなかった。それが原因でルークは自ら長年姿を消してしまうことになる。長年親しんできた私たちのヒーローたちは苦悩とともに孤独に生きていたことになるのです。

これが嫌いな理由です。彼らの功績、戦いに勝利したこと、あれだけ多くのものを失ったことも、まだ「惨め」のストーリーの始まりでしかない。今後、「帝国の逆襲」でレイアとハン・ソロのキスシーンを見るたびに、数年後に2人の息子がルークのジェダイアカデミーの生徒を殺して、痛々しいロマンスに終わってしまうことが頭をよぎるでしょう。「ジェダイの帰還」で、ルークが父であるアナキンをダークサイドから救い、フォースにバランスをもたらしても、その後は失敗や心労が彼を待っていることを知ってしまっているのです。

こうなってしまったことは嫌ですが、理解はできます。実際悪いチョイスとも思いません。マークハミル、キャリーフィッシャー、ハリソンフォードが再び役を演じることが決まったのならば、エピソード7で、3人のヒーローがどこかの惑星のビーチでマイタイを満足げに飲んでいるなんていうストーリーは絶対にあり得ないわけで。それだとぜんぜんおもしろくないし、それ以上に新しい世代のキャラクターは、ルーク、レイア、ハン・ソロが解決できなかった問題を今度は解決する必要がある。これはルークとその仲間が前世代が残した問題を解決するというスターウォーズのストーリーをなぞったものでもありますよね。

でもその後の失敗のせいで、銀河を救ったルーク、レイア、ハン・ソロをヒーローからまぬけ者と考えるのは簡単ではないのです。ここまで酷い状況になってほしくなかったし、不幸せな彼らを見たくなかった。正直にいうと、老けてほしくもなかった。ハン・ソロについては、年老いて騙す相手もいない密輸業者をやっていて、カイロ・レンだけが彼の残したものになるなんて姿は見たくなかった。威勢のいい悪党としての彼が好きだったのです。

ハッピーエンドがリアルじゃないというのはわかります。ジェダイの帰還でルークとレイアとハン・ソロに、突然一切の問題もなくなるわけでもないでしょう。人生はそう上手いこといくもんじゃない。遠い昔、遥か彼方の銀河系でもおそらくそうでしょう。でもスターウォーズの世界ではそれで30年間成り立ってきました。3人の若いヒーローが悪を倒し、銀河に平和をもたらし、その後幸せに暮らすというストーリーが。リアルなエンディングではないですが、もしスターウォーズが現実的なストーリーならあまり好きにならなかったでしょう。

「フォースの覚醒」が素晴らしいものになるためには、犠牲は不可欠でした。エピソード9まで出そろうまで、それにどんな価値があったかどうかはまだわかりません。ただこの後のエピソードが「フォースの覚醒」と同じぐらい、もしくはもっと素晴らしかったとしても、エンドアの戦いの後の反乱軍の祝勝会を見るたびに、ルーク、レイア、ハン・ソロのことを応援できなくなってしまいそう。むしろ彼らのことを悼むでしょう。なぜならそこで一緒に幸せに過ごせる時間が終わり、その後の人生は落ちるのみなのですから。


Rob Bricken - Gizmodo US[原文
(mayumine)