中国の外貨準備高の減少、現在も「急速進行」「株と人民元の買い支えに大放出」の見方=中国メディア | ニコニコニュース

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 中国メディアの参考消息は12日、2015年末時点で1992年以来の23年ぶりに減少した中国の外貨準備高について、現在も急速に減少しつつあるとの見方があると紹介した。

 中国の外貨準備高は2015年末時点で、前年同期から1080億ドル(約12兆7000億円)減の3兆3000億ドルだった。23年ぶりの減少で、落ち込み幅も過去最大だった。

 記事は、外貨準備高の減少の大きな理由として、当局が株式市場の相場と人民元の為替レートの維持のため、2015年夏から大量の資金を放出しているとの見方を紹介。

 さらに、習近平政権が進める「一路一帯」のような全世界規模の経済・政治戦略やベネズエラの債務肩代わりなどでも、巨大な外貨資金が必要になっているという。

 15年末時点で3兆3000億ドルだった中国の外貨準備高だが、 中国の代表的商業銀行のひとつ、交通銀行の関連会社である交銀行国際控股有限公司の郝洪首席ストラテジストは、「現在は3兆ドルの大台から、そう遠くない」金額にまで落ち込んでいるとの見方を示した。

 シンガポール銀行のリチャード・ジェラム(李捷龙)首席エコノミストも「憂慮すべき速度で、中国の外貨が消えて行く」と表明。問題は、「中国の外貨準備高が2兆ドル程度になる時期」だとの考えを示した。ジェラム首席エコノミストは「中国から消える外貨は真空に吸い込まれていくのではない」と表現。中国が外貨準備高を急速に減らしていくことで、国際的にさまざまな影響が出ると指摘した。

 記事は、中国が世界で最も多く米国債を保有している国であることにも触れた。現状では少なくとも1兆2500億ドルと推計し、中国が米国債の売却を続ければ、米国債の流動性が高くなり、米国政府の資金調達は難度が高くなると指摘。さらに、状況が極端に進めば米国の利上げの速度が鈍る可能性もあるとの考えを示した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)