この1年でどう変わった? 年収別 平日・週末時間の使い方 | ニコニコニュース

プレジデントオンライン

時間管理術は年収層に関係なく浸透したが、それでもこの1年で忙しさは増している。「個人と企業の新しい関係」を説くコンサルタントがもう一歩先に行くための心構えを提言する。

ビジネスマンは平日、週末の時間をどのように使っているか。さらには1年、10年、定年までの時間をどのように捉えているか。幸せと感じる時間はあるのか――。プレジデント誌では「仕事時間」「帰宅後・休日」「未来の時間」「幸せ時間」の4つに分け、ビジネスマン1000人にアンケート調査を行った。

まず「仕事時間」に関する結果を眺めると、年収に関係なく全体的に個人単位での仕事の効率化が進んでいる様子に驚かされる。

たとえば、「仕事に優先順位をつけている」と回答した人(「あてはまる」「ややあてはまる」と回答した人の合計。以下同じ)は年収500万円台で76%、年収800万円台で82.9%、2000万円以上で81.6%と、どの年収層でも80%前後を占める。

この調査はインターネットで行ったため、ネットリテラシーや仕事への意欲が高いなどといった多少の偏りはあるかもしれないが、結果を見る限り、手当たり次第に仕事をするタイプが少なくなっているといえる。

その傾向は強くなっているようだ。「打ち合わせを短時間で切り上げる」を見てみよう。年収500万円台で37.7%から57.5%へ、年収800万円台で50.4%から64.5%へ、年収2000万円以上で57%から75%へ。水準の違いはあるが各層で大きく増加している。

数年前から、仕事の効率化に関するビジネス書やその著者が注目を集めている。それらのノウハウが個人単位での仕事に反映され、こうした数字となって表れているのではないか。

一方で「この1年で仕事は忙しくなっている」と感じている人は、いずれの年収層でも約半数を占める。個人単位で効率化を進めていても、それでは追いつかないほど仕事量が増え、多忙感につながっているのかもしれない。

オフタイムの使い方はどうか。帰宅後、平日に週何回、家族と夕食をとっているかという問いに対し、「5回(ほぼ毎日)」と答えた人がすべての年収層で40%を超えているのが目につく。

年収層によって差が出ているのが、「オフの日に仕事のメールをチェックしている」「週末に翌週の仕事の段取りを考えている」への回答。年収が高い層ほどオフに仕事が入り込む傾向にあるようだ。

長期的な視点での時間の使い方についても聞いた。そのなかでは、目標に関する質問で年収層による差が出た。

「1週間、1カ月、1年の目標を立てている」と答えた人は500万円台で30.2%だが、2000万円以上では50.4%と過半数を占める。

「未来の目標のためにいま取り組んでいることがある」と答えた人も500万円台と800万円台が30%弱にとどまるのに対し、2000万円以上は49.5%と半数近くに上る。

おもしろいのは定年に対する考え方だ。2000万円以上では「可能なら、定年より早く退職したい」と思う人が27%いる一方で、「健康な限り、一生働きたい」と思う人も33.9%おり、両極化している。いずれにせよ、年収2000万円以上では将来を考え、目標を立てて自分の人生を生きている人がほかの年収層より多い。

これは「どんな働き方が理想と考えているか」への回答からも読み取れる。2000万円以上は「独立して働く」が32.7%。「同じ会社に長く勤める」と答えたのは2000万円以上が38.7%だが、500万円台と800万円台は50%超と10ポイント以上の差がある。

強烈なのは「人生で一番大事にしたいこと」への回答である。「組織の中で出世する」と答えた人は全体で1.9%。経営者にとっては「あなたのことを大切には思っていない」といわれているようなものだ。

どの年収層、家族形態でも「人生で一番大事にしている」のは「家族と楽しく過ごす」であった。ただ、2000万円以上では「社会に役立つ」が27.9%を占めて2位だったのに対し、500万円台では14.4%と約半分で3位。ここでは年収層により差が出ている。

仕事の効率化や時間管理に取り組んだ結果、働く人の幸福感は増えているのだろうか。今回は「浪費時間」とあわせて、初めて「幸せ時間」についても質問をした。

「1日の中で幸せと感じる時間がある」人は、どの年収層でも過半数に上る。年収別では2000万円以上が突出しており7割近くを占めた。

一方、「1日の中で、時間を浪費してしまったと感じることはある」と回答した人がどの年収層でも60%程度いた。時間泥棒の正体は1位が「長い打ち合わせへの参加」が61.5%と突出して多く、次いで「長い電話への対応」が39.1%で続く。ネットサーフィンやスマホでのゲームなどを挙げる人は少なく、ここでも自己統制する力を持った個人の姿が浮かび上がる。

打ち合わせと電話の2つは、いずれも個人ではなく組織で対応しなければ解決できない問題だろう。個人レベルでの仕事の効率化は進んでいても、組織やチームにおける効率化という点では、まだまだ課題が多いといえそうだ。

【調査概要】楽天リサーチの協力を得て実施。 対象:ビジネスマン1000人(20~60代、男女比95:5、各年収層は3分の1ずつ) 期間:2013年11月22~24日

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シグマクシス パートナー 柴沼俊一(しばぬま・しゅんいち)
1995年、東京大学経済学部卒業。2003年ペンシルベニア大学経営大学院ウォートンスクール卒業。日本銀行、マッキンゼー・アンド・カンパニーなど経て現職。共著に『アグリゲーター 知られざる職種 5年後に主役になる働き方』がある。

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