普通に飼えるのになぜ!? 柴犬は「天然記念物」である理由とは | ニコニコニュース

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ペットとして根強い人気の「柴犬」。街で見かける身近な存在なのに、「天然記念物」なのはご存じでしょうか?

日本特有の動物を保護する目的で指定された天然記念物には、柴犬を始め、ブサかわで有名な秋田犬や「お父さん」で知名度が高まった北海道犬も含まれ、飼育や繁殖のためなら誰が飼ってもOK、肩書きとは裏腹に気軽につきあえる存在です。ただし「特別」天然記念物は別格の存在で、トキやオオサンショウウオは文化財保護法の対象となり、勝手に飼うことはできません。祝いごとに欠かせない「鯛」も、エリアによっては触れてはいけない存在になっているのです。

■「お父さん」も天然記念物

天然記念物が特別な存在なのは、誰もがご存じでしょう。動植物に限らず鉱物も対象となり、

 ・ウミネコ

 ・富士山の原始林や洞窟

 ・ヤマネ

などの名前は、一度は耳にしたことがあるでしょう。これらは保護の対象となっているため、勝手に採取したり傷つけたりすると文化財保護法違反となり処罰されます。歴史的な建造物に落書き! も同様(またはそれ以上)ですので、絶対にナシで願います。

許可なく手に入れられる「天然記念物」はあるのでしょうか? 答えはYes、驚くことに街で見かける「柴犬」は、天然記念物なのに誰でも一緒に暮らすことができるのです。

柴犬をはじめとする日本犬は、昭和6年から「日本に特有な畜養動物」として国の天然記念物に指定されました。目的は種の保存、つまり絶滅せずに生息することなので、誰でも飼育/繁殖が可能のかたちがとられ、飼える天然記念物になっているのです。

絶滅と聞くと大げさに思えるかも知れませんが、現存する日本犬は、柴/紀州/四国/甲斐/秋田/北海道の6種しかなく、秩父犬/青森犬など多くの犬種が絶滅してしまいました。北海道犬の「お父さん」や、ブサかわの秋田犬がテレビに映るのも天然記念物に指定されたおかげ、といっても過言ではないのです。

■特別天然記念物のイカも存在

柴犬以外にも身近な天然記念物は多く存在します。場所によってはニホンザルやタヌキも指定されているのです。

天然記念物は地域限定の場合もあり、代表例は、

 ・ニホンザル(青森県)

 ・タヌキ(山口県)

このほか、ニワトリの一種である軍鶏(しゃも)も指定されています。

トキやオオサンショウウオをイメージするひとも多いでしょうが、こちらは「特別」天然記念物のため、保護レベルはさらにアップし、勝手に捕ることはできません。

特別天然記念物は、天然記念物のなかでもとくに貴重/価値の高いものと定義され、見ただけでわかる「基準」はありませんが、カモシカやコウノトリ、アホウドリなども名を連ねています。変わりダネとしては、

 ・鯛 … 千葉県

 ・ホタルイカ … 富山県

など食卓に並ぶものもありますが、こちらはエリア限定なのでフツウに流通することはありませんので、食べちゃった! とあわてる必要はありません。

食通で知られる北大路魯山人はサンショウウオを「すっぽんを品よくしたような味」で、非常においしかったと記しています。もちろん合法的なルートで入手したのでしょうが、あのビジュアルを臆せず口にできるのは「さすが」の一言に尽きます。これほど特別な体験はめったにないにせよ、身近なところにも天然記念物が多く存在することを忘れずにいたいものです。

■まとめ

 ・フツウに飼われている柴犬や秋田犬は、天然記念物に指定されている

 ・指定の目的は「生息」のため、特別な許可や手続き不要で飼うことができる

 ・地域によってはニホンザルやタヌキも指定されている

 ・鯛ノ浦のタイ、富山県のホタルイカは、「特別」天然記念物

(関口 寿/ガリレオワークス)