日中両国の中央銀行である日銀と中国人民銀行が、円と人民元を相互に融通し合う新しい通貨交換(スワップ)協定の締結に向け交渉していることが、12日分かった。金融危機発生時に、日銀が人民銀に対し円を差し出す替わりに人民元を受け取り、市場で元を調達できなくなった日本の銀行に資金供給することが柱。両行は早期合意を目指し最終調整を進めている。

 日銀と人民銀は2002年、人民元相場の暴落など通貨危機に備え、人民銀が元を買い支える介入の原資として日銀から元と交換で円を受け入れる通貨スワップ協定を締結した。しかし、尖閣諸島問題をめぐる両国関係の悪化などを背景に、旧協定は公式発表のないまま13年に失効した。

 中国は現在、3兆ドルを超える潤沢な外貨準備を保有しており、元を買い支える介入の原資が枯渇する懸念は小さい。このため新協定では、万一、金融市場で何らかのショックが起きて資金取引が細り、邦銀の人民元調達が困難になる事態に対応する。