「GDPの数字、捏造じゃありませんか?」 中国人記者、国家統計局長に素朴な質問? | ニコニコニュース

「GDPの数字、捏造じゃありませんか?」 中国人記者、国家統計局長に素朴な質問?
サーチナ

 中国政府・国家統計局が開催した記者会見で、中国紙の記者が、6.9%と発表された2015年のGDPの伸び率について、「実際にはもっと低いと主張する人が多い」と指摘する質問をした。

 国家統計局は2015年の国内総生産(GDP)の伸び率は前年比で6.9%であり、伸び率は14年よりも0.4ポイント下落したと発表した。

 記者会見に出席したチャイナ―デーリーの記者は、「多くのメディアや研究機関が中国のGDPの真実性について疑問を示しています。GDPの真実の成長率は5%以下という人も、一部にはいます。どうお考えですか?」と質問した。

 王局長は、「いろいろな機関や研究者の、中国のGDPに対する意見はいつも聞いている」と述べた上で、「中国はGDPを低く見積もりすぎていると言うもある」と説明。

 さらに、中国中央政府は統計の水準を向上させつづけることや、データーの偽造を真剣に防止することを明確に求めていると主張した。

 王局長は、工業、建築業、商業、サービス業の4分野で全国の主要企業100万社から、インターネットを通じて情報を得ていると説明。企業から直接データを得るので、中間におけるデータ改竄することはありえないと主張した。

 さらに、統計局はで2万人の直属調査スタッフがデータの確認を行っていることや、企業だけなく市場の動向の調査も行っていること、さらにGDPの産出では2015年から国際通貨基金(IMF)のSDDS標準を導入するなどで、統計局が産出するGDPは、世界の基準に合致すると強調した。

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◆解説◆


 中国人記者の上記質問は意外であり「大胆な質問」と思う人がいるかもしれない。

 しかし中国の場合、「率直な質問かどうか」ということ自体に疑問が残る。政府各当局が自国人記者に「してほしい質問」を指示する場合があるとされているからだ。

 現在の日本でも同様の事態が全くないとは言い切れないが、「表沙汰」になった場合には「権力の報道への介入」として当局責任者もメディア側も強く非難されることは免れないだろう。

 一方で、当局が言論を統制している中国では、比較的自然な「宣伝の手法」と見なされているといってよい。もちろん、当局側の回答に欺瞞があり、それが発覚した場合には大問題になる可能性はある。

 統計局は上記記者会見の様子を公式サイトで公開した。中国当局は記者会見などの発表は積極的に行っているが、公式サイトに掲載する場合に「都合が悪い質疑応答」を割愛する場合がある。統計局は上記記者会見で、王局長の主張を全面的に紹介した。

 いずれにしろ、統計局自身が、自らが発表する数字について疑念を持たれていることに神経質になっていると考えられる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)