教室で暴れる生徒、訴訟をチラつかせるモンペ……韓国・道徳崩壊で教師の威光が消滅危機! | ニコニコニュース

くだんのほうき暴行事件動画のキャプチャ
日刊サイゾー

「師匠の影を踏んではいけない」。これは古くから韓国に伝わる言葉で、自分の師匠を大切にするという思いが込められている。儒教の影響で目上の人を尊重していた過去の韓国では、当然とされてきた文化だ。しかし、どうも現代の韓国は事情が違うようだ。

 ここ最近、韓国では、学校の教師への暴行事件が多発している。大きな話題となったのは、昨年12月末に報道された“ほうき暴行事件”だ。京畿道のとある高校で起きたその事件は、一部始終が動画に収められていた。

 舞台は授業中の教室。教壇に立つ教師に、ひとりの生徒が近づく。そして、赤いほうきで、教師の肩を何度も叩いた。同級生たちの笑い声と歓声の中、調子に乗った生徒は、「この野郎!」といった罵声を浴びせながら、今度は素手で教師の頭を小突く。暴行を加える生徒に対して、教師は「やめなさい」と声にするのが精いっぱいだった。

 報道直後、ネット上には「もはや世紀末だな」「親の顔を見てみたい」「さっさと退学させて、真相を公開しろ」など、非常に多くの書き込みが見られた。警察の発表によると1月13日、暴力事件を起こしたAをはじめとする2人が逮捕され、ほかの3人にも追加捜査が行われているという。

  教師の威厳や教権を侵害しているのは、何も生徒ばかりではない。

 済州島のとある高校でも、態度の悪い女子高生を指導した女教師に対して、女子高生の親が暴行を理由に告訴するという事件が起こった。女教師は「肩をつかんで職員室に女子高生を連れて行っただけ」と主張しており、同僚教師も「指導の過程で起こったことで、暴行はなかった」と証言している。真相は定かではないが、女子高生の親がモンスターペアレントである可能性が高いようだ。

 韓国教育部(日本の文部科学省に相当)が国会に提出した、ここ5年間の教権侵害現況によると、学生による教師への暴行は2010年の45件から14年には86件と、2倍近くにまで増加している。父兄による教権侵害も、412件に上るそうだ。

 こういった教権侵害が多発する中、もはや法改正しか手は残されていなかったのか、韓国政府は昨年末「教員の地位向上と教育活動保護のための特別法(教権保護法)」を改正。教権を侵害した生徒に、特別教育または心理治療を受けさせることなどが定められた。ただし、教権保護法の改正内容はほとんどが“事後対策”でしかないため、本当に問題が改善するかははなはだ疑問だ。

 はたして韓国の教師たちは、失った教権を再び取り戻せるのか? 法律などではなく、教師の威厳や道徳で解決すべき問題のようにも思えるが……。