がん10年生存率、58.2%=治癒目安「5年」と差小さく―国立センターが初集計 | ニコニコニュース

 国立がん研究センターは20日、がん患者の10年後の生存率が同じ年齢、性別の人に比べてどれだけかを示す「10年相対生存率」は58.2%との集計結果を初めて公表した。5年後の相対生存率(63.1%)からの低下幅は、一部のがんを除いて小さく、全体で4.9ポイント減。猿木信裕・群馬県衛生環境研究所長は「5年後の生存を治癒の目安としてきたこれまでの考え方が、ある程度裏付けられた」と分析した。

 全国がん(成人病)センター協議会に加盟する16施設で1999〜2002年に診断、治療を受けた患者3万5287人の情報を集計した。

 がんの部位別の5年生存率と10年生存率は、胃がんではそれぞれ70.9%と69.0%。大腸がんは72.1%と69.8%、肺がんは39.5%と33.2%。いずれも低下幅は大きくなかった。

 一方、長期にわたり再発の可能性があることが分かっている乳がんは88.7%と80.4%で、低下幅は8.3ポイントに達した。猿木所長は「治療後も観察を続け、再発時の早期発見に努めることが重要だ」と述べた。

 また、肝臓がん患者は既に肝機能が大幅に低下していることから治療後も死亡率が高いままで、5年生存率は32.2%、10年生存率は15.3%だった。

 がんセンターによると、生存率は治療法の進歩により徐々に改善。5年生存率は1997年時点で62%だったが、年0.7ポイント程度伸び続け、2004〜07年に診断、治療を受けた約14万7000人では68.8%だった。