言いにくい内容は「メール定型文」の活用で解決 | ニコニコニュース

プレジデントオンライン

ある調査では、ビジネスメールを1通書くのに5分かかる人が3割、10分以上かかる人が4割という。時間短縮のカギは定型文のバリエーションを増やし、相手に合わせて使い分けることにある。

■注意のフレーズ

招待メールなどに禁止事項を記す場合、メールを受け取った相手が気分を害さないよう書き方に配慮が必要です。ポイントはお願いする姿勢で禁止を伝えること。たとえば、会場での写真撮影の禁止を伝えるなら、「写真撮影は禁止です」と書くよりも、「写真撮影はご遠慮ください」としたほうが語調がやさしくなり、やんわりと禁止を伝えられます。「写真撮影はご遠慮くださいますよう、お願いいたします」と書けばより丁寧。くれぐれも命令口調にならないよう注意してください。

【注意のフレーズ】
◆◯◯はご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

⇒禁止事項をやんわりと伝えたいときに。お願いの言い方でソフトに伝えられる。
◆◯◯はお控えください。
⇒上よりもやや強めの言い回し。必ず守ってほしいときに使いたいシンプルフレーズ。
◆◯◯は禁止ということでご協力お願いします。
⇒協力を呼びかける形で、禁止事項を明文化。低姿勢ながらしっかり伝わる。
◆この文書は社外秘となっておりますので、お取り扱いにご注意ください。
⇒重要書類をやりとりする場合。「くれぐれも」を入れるとさらに厳重なニュアンスに。

■反対意見を述べるフレーズ

反対意見を書く場合、「そのような考え方もございますが」などと相手の意見を受け止めてから反論することが大切です。こうすると、印象がやわらかくなり、先方の怒りも買いにくい。逆に、「お言葉を返すようですが」というフレーズは喧嘩を売るフレーズで、争議になること必至です。また、「○○したつもりですが」というような曖昧なニュアンスは、交渉を進めるうえでは不適当。「伝え方が悪く申し訳ありませんでした」と論点をちょっとずらして伝えると、その後のやりとりがスムーズです。

【反対意見を述べるフレーズ】
◆おっしゃる通りではございますが……

⇒相手の意見を受け止めてから反論する基本形。顧客からのクレームにも使える。
◆お言葉を返すようですが、
⇒一見、丁寧でも相手の心情を逆なでする危険ワード。徹底論争の覚悟をしたときに。
◆大変申し上げにくいのですが、
⇒慇懃ながら相手の非を責めるフレーズ。顧客からの理不尽なクレームにも使用。

■謝罪のフレーズ

「ごめんなさい」は親しい間柄にだけ通用するものであり、取引先など仕事の相手に使うのは感心しません。謝罪のスタンダードは「申し訳ございません」。それ以上に強い謝意を伝えるなら「深くお詫びいたします」、メールの添付忘れなど軽いミスを誤るなら「失礼いたしました」と、謝罪の気持ちの強さに応じて使い分けるといいでしょう。もっとも、心からお詫びをしたい重大なミスに対しては、メールは避けるのが妥当。電話もしくは直接、会って謝罪をしたほうが、しっかりと誠意が伝わります。

【謝罪のフレーズ】
◆ごめんなさい。

⇒社内でも親しい間柄の人に対してお詫びをするときに。上司には不適。
◆申し訳ございません。
⇒お詫びのフレーズのスタンダード。「本当に」をつけて強調しても。
◆この度はご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。
⇒丁重に謝りたいときのフレーズ。「申し訳ございません」より重いニュアンスに。
◆私の不手際で多大なご迷惑をおかけして、弁解のしようもございません。
⇒自分のミスを認めてお詫びの気持ちを伝える一文。反省の深さが伝わる。
◆私の不徳とすべきところで、お恥ずかしい限りです。
⇒書類の誤記など相手にさほど迷惑をかけていないミスのお詫びに。
◆のちほどあらためてお電話を差し上げます。どうかご容赦くださいますよう、伏してお願い申し上げます。
⇒相手の逆鱗に触れ、心からお詫びしたいときに。後で電話をかけるのが必須。

■苦情のフレーズ

あえて形式的な硬い言葉を選び、相手との間に壁をつくるのがテクニック。「弊社一同、困惑しております」「理解に苦しんでおります」と普段使わないフレーズを挟むことで緊張感が高まり、ミスの重大さが伝わります。懇意の間柄でも苦情には硬い言葉を選ぶといったコントロール術を身につけて損はありません。軽い苦情なら「なぜこのような事態になったのか、ご説明をお願いします」とやんわりミスを指摘すれば非難の意思も伝わるでしょう。

【苦情のフレーズ】
◆弊社一同、大変、困惑しております。

⇒クレームを明確に伝えたいときに。形式的なフレーズをあえて使うのがセオリー。
◆こちらの意図したものと違っております。
⇒相手を責めずに苦情を伝えるときの表現。客観的な言い回しにするのがポイント。

■辞退のフレーズ

パーティなどの招待を断る場合、まず誘ってもらったお礼を先に書くのが鉄則。そのうえで「出張が入っている」など相手が納得できる理由を書き添えるといいでしょう。商品の売り込みや企画の提案を断る場合も、「せっかくのご提案ですが」などとワンクッション入れるとソフトな印象に。「辞退させていただきます」「見合わせます」などできるだけやわらかい表現がいいでしょう。相手に気を持たせる言葉は、本当にその気持ちがあるときだけに使いましょう。

【辞退のフレーズ】
◆せっかくのご招待ですが、欠席させていただきます。

⇒パーティなどの欠席を伝える際のフレーズ。欠席理由も明確にしておくこと。
◆ありがたいお話ですが、辞退させていただきます。
⇒先方からの提案を断るときにはまず感謝を伝えて。「辞退」は便利な断りワード。
◆お役に立てず恐縮ですが、お断りさせていただきます。
⇒商品紹介や企画提案を断るときに。お詫びを入れるとニュアンスが和らぐ。
◆社内で検討した結果、辞退させていただきます。
⇒企画提案などを断る場合に。社内で検討したことを明確にするのがポイント。
◆ご提案の件、ご心配には及びません。お任せください。
⇒提案をやんわり断りたいなら、協力の必要がない旨を伝えるのがベター。

■念押しのフレーズ

アポイントを入れてから日にちが空いたときなどには、確認メールを入れても失礼にはなりません。その場合には「念のため確認です」といったフレーズを使うと、メールの意図を汲み取りやすくなります。また、メールの内容で特に重要な事柄は、最後にもう一度、書いて念を押せば行き違いを防ぐことができます。この場合、語調を替えるのも一つの方法。フレンドリーな語調の中に「お手数ですが、◯月◯日(◯曜日)までにご回答お願いいたします」というような硬い言葉が出てくると頭に残りやすくなります。

【念押しのフレーズ】
◆明日のお打ち合わせの件、念のため確認です。

⇒アポイントの日が迫ってきたときに。「念のため」とすれば失礼に思われない。
◆明日、13時の取材、よろしくお願いします。
⇒約束した日時を確認するためのワード。場所を加えるとより綿密な確認に。
◆明日の弊社セミナーへのご参加、お待ちしております。
⇒約束を確認する場合のフレーズ。待っていることを伝え、思い出してもらう。

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平野友朗
アイ・コミュニケーション代表取締役。一般社団法人日本ビジネスメール協会代表理事。
筑波大学人間学類(認知心理学専攻)卒業後、広告代理店勤務を経て現職。個人のメールスキル向上から組織のメールのルール策定、メール処理の効率化による業務改善などに取り組むかたわら、官公庁や企業、学校や団体からのオファーでコンサルティングや講演、研修も行う。

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