ウェイトトレーニングで行き詰まったときに増やすのは、回数と重量のどっち? | ニコニコニュース

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あなたがどんな動機からウェイトトレーニングに取り組んでいても、その目標はきっと、私と同じです。あなたの横でトレーニング姿の自撮りをしている人だって、きっと同じでしょう。それは「進歩」すること。

さて、進歩したいというときにまず考えるのは、ウェイトを増やして、もっと重くても持ち上げられるようにする、ということでしょう。けれども、ウェイトを増やすのではなく、上げる回数(レップ)を増やすという選択肢もあります。では、どんな場合にウェイトを重くして、どんな場合にレップを増やすべきなのか、探っていきましょう。

ウェイトを重くするか、レップ数を増やすかを検討するようになったということは、あなたはもう、現在の「トレーニング刺激」に自分の身体が慣れてしまったと感じているのでしょう。ということは、あなたは以前よりも進歩したのです! とはいえ残念ながら、ご存じの通り、筋力アップへの道は一筋縄ではいきません。

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トレーニングの成果が頭打ちになるわけとは

「ウェイトとレップ、どちらを先に増やすべきか」を考える前に、ウェイトトレーニングに潜む強大な敵を直視しなければなりません。大敵とはすなわち、トレーニングの成果が出ずに行き詰まった、中途半端な状態です。ワークアウトをそれほどきつく感じなくなったのに、そこから先に進めず、一定の期間が過ぎても筋力がついた気がしません。フィットネス界隈では、これを「プラトー」(停滞期)と呼ぶことがあります。

停滞期とは要するに、自分を鍛え、筋肉を強化してきたこれまでの刺激では、もはや不十分だと感じる時期です。もちろん、ウェイトやレップのいずれか、もしくは両方を増やせば、停滞期はたいてい過ぎ去ります。それまでどちらも増やしたことがないような初心者なら、問題はあっさり解決します。でも、この敵はかなりの強者です。最初は効果のあった方法も、続けていくうちにだんだん効き目がなくなってしまいます。そうして再び、停滞期に陥るわけです。

停滞期が起きるのにはさまざまな理由があり、その多くについては以前のこちらの記事で大まかに説明しています。基本的には、自らの身体の出来が良すぎるのを責めるしかありません。仮に、継続的に成果を出すための大事な要素のうち、トレーニングに直接は関わりのない、睡眠や一般的なストレス、栄養などについては、すべて好調で問題がないとしましょう。そうすると、停滞期を招く可能性があるのは、以下の直接の要因に絞り込まれます。

トレーニングが不足している:努力が足りなかったり、トレーニングの強度や量、消化したプログラムの全体量が少なすぎたりすることは、成果がなかなかあがらない原因の1つに数えられます。ウェイトリフティングの初心者向けプログラムは、基礎を少しずつ築いていくことを目指しており、エクササイズの種類も、レップも、全体的なセットの回数も少なめです。初心者にはそれ以上をこなす能力がないからです。でも、学術誌『Journal of Strength & Conditioning Research』のこちらの研究が示唆するように、「それ以上」をこなしてこそ、体力と筋力の強化が促され、それと同時に、トレーニングの負担に耐え、そこから回復できるようになるのです。超人的な筋力を持ったアスリートは、ものすごい負荷に耐えられるだけの力をつけるのに何年もかけています。米LHの寄稿者としておなじみのフィジカルトレーナーであるGreg Nuckols氏はトレーニング関連サイト「Ripped Body」の記事の中でこう述べています。「やればやるほど、さらにトレーニングをこなせるようになり、その分の成果(筋肉の大きさとパワー)が得られます」。

トレーニングをやりすぎている:その一方で、トレーニングをやりすぎてしまうと、身体が回復しきれない場合もあります。これは一体どういうことでしょうか。Nuckols氏はこう説明します。「筋力がつくに従って、トレーニングによる代謝量はひたすら増えていきます。そのせいで、トレーニングをやっている最中に疲れが蓄積するようになり、最後までやり通すことが困難となって、トレーニングの終盤ではワークアウトの質が落ちてしまうのです。これは、回復にもじかに影響します。崩れたフォームでさまざまなセットをこなして、最後のほうのレップは力を振り絞って必死にやり遂げた、というような場合、回復するのに余計時間がかかります。それが毎週のように続いていくわけです」。

トレーニングの内容が高度すぎる:伸び悩みの理由がこれだと言われても、疑問を感じる人もいるかもしれません。一般的には、ワークアウトの内容が高度であればあるほど、成果も大きいと思われていますものね(「アーノルド・シュワルツェネッガーみたいになりたかったら、彼と同じトレーニングをやらなきゃだめだ!」というように)。けれども困ったことに、長年トレーニングの経験を積んだベテランでない限り、身体がまだできあがっていないので、高度なエクササイズをやったところで、その成果を十分に得られないのです。その上、はじめから高度な手法を取り入れてしまうと、いざ停滞期から抜け出そうというときの選択肢が狭まってしまいます。

そんなわけで、着実に結果を出していくのは難しいのです。単に「ウェイトを増やせ」とか「レップを増やせ」では済まないことがわかりましたね。

で、結局、ウェイトとレップ、先に増やすのはどっち?

では本題に移りましょう。先に増やすべきなのはウェイトとレップ、どちらなのでしょうか。実を言うと、真っ先に改善すべきなのはフォームです。

もっと鍛えるべきときにフォームの改善だなんて、「逃げ」だと思うかもしれませんが、そんなことはありません。

というのも、エクササイズでは、適切なフォームの維持が筋肉を実際に鍛え、ワークアウトで成果を出し、ケガの危険性を最小限に抑える上でもっとも重要なのです。けれども、やり慣れない極度に重いウェイトを前にすると、そんなことはすべて吹き飛んでしまいます。ウェイトの重さ次第では、フォームは崩れ、まるでゴリラが氷の上でタップダンスを踊っているかのようなありさまになるでしょう。軽めのウェイト(もしくは自重トレーニング)ならば正しいフォームでできる人でも、ウェイトを増やして正しいフォームを維持するには、また別の努力が必要なのです。

ですから、最優先の課題は正しいフォームの維持と定めましょう。その上で、普段の実力を超えるウェイトを持ち上げるとフォームが崩れてしまうのであれば、ウェイトを増やすのは棚上げにして、まずはレップを増やす(1セットあたりの回数を増やすか、セット数を増やす)ほうに集中するのが、成果を出し続けるカギとなります(ようやく答えが出ました!)。

「まずレップ、それから重量」の順です。この指針の当てはまるシナリオをもうひとつ紹介します。たとえば、今取り組んでいるプログラムで、スクワットの回数が6回から8回に設定されているとします。この場合は、レップの最高回数である8回を、適切なフォームでこなすことをまずは目指し、それが達成できてからウェイトを重くしていきます。逆に、合間にツイッターを確認しながらでも8回のスクワットを容易にこなせるなら、もちろんウェイトを重くして構いません。このように、レップの上限まで増やしたら今度はウェイトを増やしていく進め方をダブル・プログレッションと言います。

いずれのシナリオも、元を正せば、トレーニング量を増やしてもっと鍛えれば、より多くのワークアウトをこなせるようになる、という考えかたに行き着きます。Nuckols氏はさらにこうつけ加えています。

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ほとんどの場合、その力があるのならウェイトを重くするのは良い判断です。でも、停滞期にあるときは通常、ウェイトを軽くし、セットかレップ、あるいはその両方を増やす必要があります。この作戦は、割とどんな場合にもうまく行きます。

スランプの原因がトレーニング不足なら、足りない分を補う(トレーニング量を増やす)ことでトレーニング刺激が強くなるでしょう。スランプの原因が、トレーニングがきつくて十分に回復しきれていないせいなら、トレーニング量を増やすことで「ワーク・キャパシティ」(トレーニングからの回復力)が向上し、あとで再びウェイトを重くしたときに成果を出すための下地ができるでしょう。

こうしたやりかたは楽しいばかりではありません。ワーク・キャパシティを増やしている間は、おそらく疲労感を覚えるでしょうし、疲れが蓄積するせいで目に見える筋力はつかないかもしれません。でも、停滞期を脱したときには、きっと良かったと思えるはずです。

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つまり、レップやセットの回数を増やせるよう、ウェイトはいったん減らさなければならないということですが、それで良いのです。狙いはまさにそこなのですから。

ここに紹介した2つの方法はどちらも、新たな刺激に耐えられるよう、身体を作ってくれます。でも、数カ月、数年後にはどうなるのでしょうか? 気をつけるべきは、急いで一気にあれこれ手を加えないようにすることです。

物事を変えるなら少しずつゆっくりと

今ウェイトトレーニングに励んでいる人ならきっと、人生の終わりが近い年齢になっても、重いものを持ち上げ、元気に動き回っていたい、と思っていることでしょう。もしそうなら、数字を上げることだけにこだわるのは危険です。ケガをしやすくなるだけではなく、長期的な進歩にも悪い影響をもたらします。

フィットネスコーチで、著作もあるLyle McDonald氏は、自身のサイト「Body Recomposition」のトレーニング初心者に向けたすばらしい記事で、次のように指摘しています。

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初心者のうちに、いきなりすごい量のトレーニングをこなしたり、高度なトレーニングメソッドに手をつけたりしてしまうと、いずれ、いよいよ何かを増やさなければならない段階になったとき、問題にぶつかります。すでにトレーニング量が多い場合、それ以上増やすのは不可能とは言えないまでも難しくなるでしょう。一方、早い段階から高度なトレーニングメソッドを導入している場合は、あとでスランプに陥ったときにその壁を突き破る手段が残されていません。

少し言いかたを変えましょう。どんなトレーニングであっても、必ず最低量のトレーニングで、可能な限りパフォーマンスに適応して成果を出すことを、1つのゴールとして掲げるべきです。

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すなわち、物事は少しずつゆっくりと変えていくのが良いのです。何でもかんでも一気に手を出して、あっという間に自由の利かないがんじがらめの状態になるようでは困ります。そのためには、何かを変えるときは、慎重に、もしくは一度に1つずつ手を加えていくようにしましょう。この記事の場合なら、まずはレップ、あるいはウェイトのいずれかを、ほんの少しだけ増やすにとどめれば良いのです。おわかりですよね?

まとめ

では、マンネリ化したワークアウトに適度に手を加えるとは一体どういうことでしょうか。

Nuckols氏はこちらの記事でヒントをいくつか紹介していますが、基本はまずレップの回数を変えてみるよう話しています。それで明確な成果が得られなくなったら、もう一方の手段、つまりウェイトを重くしてみてください。それに慣れたら、再びレップに目を向けるというプロセスを繰り返していきましょう。また、ワークアウトのたびに、必ず同じ数のレップとセットをこなす必要はないので、注意してください。「ピリオダイゼーション」(期分け)の発想を取り入れて、時期によって同じエクササイズをハイレップとローレップで交互にやるのも一案です。

忘れないでほしいのですが、一番大事な目的は、(数週間や数カ月、あるいは数年といった)一定の期間にわたって進歩を続け、筋力と健康とスピードの向上を達成すること、ですよね。というわけでMcDonald氏は、先にレップを変えることのメリットをもう1つ指摘しています。それは、いきなり困難な課題に取り組むと、心が折れてジムから足が遠のいてしまうかもしれないけれど、今できる範囲のことをやるようにすれば、ジム通いが嫌にならず、習慣になるまで続けられる、ということです。それこそが、何よりも大事ですよね。

Stephanie Lee(原文/訳:遠藤康子/ガリレオ)
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