安倍首相「沖縄と対話重ねる」=辺野古移設へ説得強化―宜野湾市長選 | ニコニコニュース

 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市の市長選で与党推薦の現職、佐喜真淳氏が再選を果たしたことを受け、安倍晋三首相は25日、同飛行場の名護市辺野古移設に向け、地元への働き掛けを強めていく考えを示した。これに対し、移設に反対する翁長雄志知事は政府への不信感を強調。敗れた新人候補を支援した野党幹部は、選挙結果は辺野古移設容認を意味しないと訴えた。

 首相は25日の自民党役員会で「大きな、勇気づけられる勝利を得ることができた」と歓迎。「これからも沖縄と対話を積み重ね、基地負担軽減、沖縄振興に取り組んでいきたい」と述べた。

 中谷元防衛相は自衛隊行事に合わせて30日にも沖縄県を訪問し、翁長氏や地元首長らと会談する意向。移設のための護岸工事など本格的な作業の開始時期について、防衛省で記者団に「ボーリング作業の進捗(しんちょく)をにらみながら、天候や海の状況、地元への影響も考慮して進めたい」と説明した。

 菅義偉官房長官は記者会見で、翁長氏ら辺野古移設反対派の主張に触れ、「『オール沖縄』という言葉は実態と大きくかけ離れている。今回の結果は、市民がさまざまなことを考えて判断したのだろう」と指摘した。

 自民党の谷垣禎一幹事長は党役員会で、野党が相乗りした新人を破ったことを踏まえ、「野党共闘をどうしていくかという議論にも大きな影響があったのではないか」と語り、参院選に向け統一候補擁立を模索する野党側をけん制。公明党の山口那津男代表はさいたま市での党の会合で「自公の協力が実った形となった。その勢いを生かして夏の参院選に挑んでいきたい」と述べた。

 一方、新人候補を支援した翁長氏は辺野古移設を推進する政府の姿勢に対し、県庁で記者団に「何も変わらない政府だ」と不信感を示した。

 共産党の山下芳生書記局長は会見で「(佐喜真氏)陣営は(選挙戦で)名護市辺野古への基地移設に一言も触れなかった。移設賛成の民意が示されたわけではない」と指摘。社民党の吉田忠智党首も会見で「(現職は)辺野古の新基地に一切言及しなかった。争点隠しをされた」と述べた。