国がタクシー運転手の乗務距離を制限したのは違法だとして、タクシー会社「名古屋エムケイ」(名古屋市)が制限を超えても乗務できることの確認などを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)は21日付で国の上告を退ける決定をした。制限は違法とした一、二審判決が確定した。

 国土交通省中部運輸局は2009年、運転手の過労防止などを目的に、名古屋市とその近郊で毎日乗車する運転手の乗務距離を、1日当たり270キロに制限するなどした。

 同様の規制強化は全国で行われ、エムケイ(京都市)のグループ会社は5地裁に提訴。札幌、東京、大阪、福岡の訴訟はいずれも国の敗訴が確定しており、名古屋だけ最高裁まで争われていた。

 名古屋地裁は「名古屋圏では、タクシーによる交通事故などは減少傾向にあり、新たな規制開始が必要な状況にはなかった」と指摘。エムケイ側の請求を認め、名古屋高裁も支持した。