【レポート】日本の知られざる技術をオンラインで - Google、日本の工芸品を世界に紹介する「Made In Japan:日本の匠」 | ニコニコニュース

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Googleは26日、文化や芸術をオンラインで保存する取り組み「Google Cultural Institute」にて、日本の工芸品を世界に向けて紹介するプロジェクト「Made In Japan:日本の匠」を開始した。

「Made In Japan:日本の匠」では、西陣織や京薩摩、九谷焼、輪島塗など、さまざまな日本の工芸品を展示するプロジェクト。立命館大学アート・リサーチセンターや青森県庁など6施設の協力を仰ぎ、27都府県から工芸品82種をオンライン展示する。

工芸品は高画質の写真や動画、テキストで閲覧できるほか、作品の歴史や制作過程といった、背後のストーリーの紹介にも重きをおいた。展示は工芸品個別のページから閲覧できるほか、日本地図上で表示された産地をクリックすることでも表示できる。

○歴史や素材、制作工程も紹介

Google Cultural Institute統括責任者のアミット・スード氏は、京都「西陣織」のファンだという。しかし、長い間、西陣織の素材や制作の様子など、背景のストーリーが英語ではなかなか理解できなかった。

今回開始した「Made In Japan:日本の匠」は、写真や動画、テキストなどで、工芸品そのものだけでなく、その工芸品にまつわる歴史や素材、開発過程、現在の状況といった"ストーリー"を得やすいことが特徴という。これにより、海外向けに単に日本の工芸品を紹介するだけでなく、より多くの人が西陣織の着物がどういう意味を持つものなのか、理解できるようになる。

アミット氏によると、一つの国にフォーカスして、有名・無名の工芸品と、そのストーリーを紹介するような展示は初だという。イタリアにフォーカスした「Made In Italy」というコンテンツもGoogle Cultural Instituteで展示しているが、こちらは農業にフォーカスしたもので歴史や制作過程といったストーリーの紹介もなく、「全く別のもの」という。

○「今、頑張っている工芸品を取り上げたい」

文化財や工芸品のデジタル化を進める立命館大学アート・リサーチセンター客員協力研究員で、京都女子大学の前﨑信也氏は、今回のプロジェクトに関わった中心人物の一人。「Made In Japan:日本の匠」の内容について、工芸品を制作する過程の写真がほぼないことなどから、「とにかく綺麗な画像を見られる」ようにし、そして「どのようなプロセスで、どんな材料で作られているか、ぱっと見てわかるようなサイトを作ろう」とした。

「Made In Japan:日本の匠」内の各展示は、高解像度写真とテキストで構成され、一部展示には動画も使われる。プロジェクトは2015年夏頃から開始し、博物館や美術館といった施設と協力し、展示品の写真や動画の提供を受けたり、工芸品を撮影したりした。展示品の選定はGoogle側でなく、協力パートナーが担当するが、明確な基準は設けない。今後、「Made In Japan:日本の匠」を見た、工芸品関係者からの展示希望も受け付ける。

第1弾となる82種の工芸品は、海外向けを視野に、「日本文化を海外に発信するときに注目されるもの」を選んだ。展示のオファー自体は100程度行っているが、時間的な制約があり、(夏頃から始まったプロジェクトのため)提供開始に間に合うとして進められたものが展示されている。前﨑氏は「地域のおじいさん一人でやっているところも入れようと思った。今、頑張っている工芸品を取り上げたい。玉石混交でもいいと思っている。今後、何を発信していくかが大事だ」と、今後の展望を語った。

公開は26日から。対応言語は日本語、英語。展示する工芸品は下記の通り。

(村田奏子)