【ロンドン時事】英中西部ランカシャーに住むイスラム教徒の10歳の少年が、小学校の授業で「自分はテロリストの家に住んでいる」と書いたため、警察の聴取を受けたことが20日明らかになった。実際は単なるスペルミスで、警察に通報した学校側の対応に「過剰反応」との批判が上がっている。BBC放送が報じた。

 少年は昨年12月7日の英語の授業中、「テラス・ハウス」(Terraced House=棟続きの集合住宅)と書くつもりが、「テロリスト・ハウス」(Terrorist House)とつづりを間違えた。

 英国では昨夏以降、学生や生徒の過激行為が疑われる場合、学校側の通報が義務付けられた。しかし少年の親族は「教師はつづり方を指導すべきで、(警察への通報は)子供への対応ではない」と批判し、学校と警察に謝罪を求めた。

 中東などから難民が押し寄せる英国では、イスラム過激思想を背景とするテロに警戒が強まっている。英ムスリム協議会幹部は「個人の日常生活が治安上の観点から、潜在的テロリストとして扱われることに大きな懸念がある」と指摘し、個人の権利より治安が優先される状況に苦言を呈している。