日本から輸入しないとボールペンも作れない中国、技術力に大きな偏り | ニコニコニュース

日本から輸入しないとボールペンも作れない中国、技術力に大きな偏り
サーチナ

 年間で約400億本ものボールペンを製造している中国だが、ペン先のボールやインクなどの技術は輸入に依存している。高速鉄道を自国で生産できる中国だが、その技術力には大きな偏りがあると言わざるをえない。

 中国メディアの新華社はこのほど、中国がボールペンのペン先を製造できない理由について分析する記事を掲載した。

 ボールペンの要となるのはペン先とインクだ。そのうちペン先はボールとボールの台座に分けられるが、中国には台座の生産技術がなく、スイスや日本といった国に技術を掌握されているという。また、国外の生産設備は原材料に対する要求が高いため、国産のステンレス材を使用できず、日本の快削ステンレス鋼線材に頼らなければならないという。さらにこれに合うインクもドイツや日本などの国から輸入しなければならず、材料や設備は輸入頼みという現状だ。

 ボールペンのペン先には、ボールのほかに5本のインクを導く溝があり、加工精度は0.001ミリレベルと高精度が求められる。さらに書く角度や圧力などを考慮して、ボールとペン先、インクの溝が絶妙なバランスでなければならず、加工誤差は0.003ミリ以内に収める必要があることも、中国での生産を難しくしているようだ。

 では、中国は宇宙船や高速鉄道を造り出せるのに、どうして鋼材は輸入頼みなのだろうか。これは技術的な問題というよりも研究を行う動機づけが不足しているからだという。ペン製造に使用する鋼材量は少なく、利潤が薄いため研究開発するより輸入に頼ってしまうようだ。

 しかし、中国も2011年からペンの研究開発プロジェクトがスタートし、国も資金面でサポートを開始した結果、インク製造やペン先のステンレス材、加工設備等の科学技術力が向上し始めているという。記事は結論として、「中国は製造大国から製造強国へと進化するため、先進技術と設備を持ち、世界で真に一流の製品を作り出し、そのうえ絶えず改良する匠の精神を育成しなければならない」と結んだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)