【レポート】37人全員の想いが列島をつなぐ! 『アイドルマスター ミリオンライブ!』3rdライブツアー名古屋公演 | ニコニコニュース

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『アイドルマスター ミリオンライブ!』初のライブツアー「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!」の開幕となる名古屋公演が2016年1月31日、名古屋国際会議場センチュリーホールにて開催された。

名古屋公演には春日未来役の山崎はるか、伊吹翼役のMachico、ジュリア役の愛美、大神環役の稲川英里、矢吹可奈役の木戸衣吹、宮尾美也役の桐谷蝶々、徳川まつり役の諏訪彩花、馬場このみ役の高橋未奈美、所恵美役の藤井ゆきよ、周防桃子役の渡部恵子が出演。今回のライブツアーは、『ミリオンライブ!』に登場するミリオンシアター組(いわゆる765プロ組13人以外)のアイドル37人全員がどこかの会場で出演するのがコンセプトとなっており、前説諸注意を担当した765プロ事務員・音無小鳥の「37人のアイドルが全国5箇所をつないでいく一大イベントです!」という言葉がしっくりくる内容となっている。

ライブ本編は、ブロードウェイのような華やかな夜の街の光に包まれた劇場の映像と共にスタート。バックに流れるサウンドはビッグバンド風にアレンジされた「Dreaming!」だ。ステージ上の電飾をあしらった大階段、その奥のカーテンに包まれた出入り口のデザインも、全体的に劇場、シアターを強くイメージさせる。ライブ構成もアンコールは無しで、『ミリオンライブ!』の世界のシアターで行われている劇場公演を現実世界で再現するような構成。衣裳は黒と白、金を基調にした3rdライブ新衣装で、ボリュームのあるスカートの使い方が特徴的となっており、これまでショートパンツが基調だったメンバーも、飾りスカートを効果的に使ってより華やかさやスタイルの良さを引き立てていた。

階段ステージ上には赤青黄5つの小ステージが設置され、前列にセンターステージ、二列目と三列目には左右のステージがあり、後ろに行くほどサイドに寄る、翼を広げたような構造。一曲目の「Dreaming!」のセンターステージにはMachicoと木戸が立ち、「プロデューサーさん、今日は楽しい一日にしようね!」(Machico)、「みんなの声、いっぱい聞かせてください!」(木戸)と煽る。今回の3rdツアーは持ち回りのリーダー制が採用されており、名古屋公演のリーダーはこの2人。普段はセンターに立つことが多い山崎が二列目にいるのは新鮮な光景だ。山崎がもっとも輝く楽曲のひとつ「素敵なキセキ」も特別な意味合いはない順番で披露され、センターという立場からひととき離れた山崎がのびのびと未来らしさにあふれたパフォーマンスを見せているのが印象的だった。

今回は全28曲が披露されたが、頭とラストを飾った歴代テーマソング「Dreaming!」「Welcome!!」「Thank You!」の3曲以外は、ソロ曲あり、ユニット曲あり、デュエット曲あり、765プロ楽曲のカバーコーナーあり……と本当にバラエティに富んだ楽曲構成。『ミリオンライブ!』はこれまで、ソロ曲とユニット曲を収録した「LIVE THE@TER PERFORMANCE」(LTP)、「LIVE THE@TER HARMONY」(LTH)の2シリーズを現実にリリースしており、現在はデュエット曲で構成した第3シリーズ「LIVE THE@TER DREAMERS」(LTD)が展開中となっている。楽曲ストックが豊富なため、ユニット曲をオリジナル版とは別メンバーで歌ったりすることで、セットリストのバリエーションが非常に豊かなのが今の『ミリオンライブ!』なのだ。

10人の中でも特に強い思い入れを持ってライブに臨んだと思われるのが、『ミリオンライブ!』単独の大規模ライブに出演するのは初めての稲川英里、桐谷蝶々、渡部恵子の3人だ。稲川はソロで「BOUNCING♪ SMILE!」を初披露。そのパフォーマンスは元気いっぱいかつ表情豊かで、MCでは演じる大神環の口調を借りながら「親分! 楽しんでくれたか?」といった感じでころころと笑いながらコミュニケーションしていく。「Smiling Crescent」に稲川が入ると、途端に明るさ、元気さが前に出るのが楽しい。桐谷の「初恋バタフライ」はダンサーの激しいダンスと桐谷の優雅な動きのコントラストにより、大会場ならではの表現に昇華されていた。そんな桐谷と稲川が演じる大神環と宮尾美也は、5人組ユニット「灼熱少女」のメンバーでもある。「灼熱少女」のユニット曲である「ジレるハートに火をつけて」は、これまで藤井ゆきよや上田麗奈がメンバーを代表して歌うことが多かったが、今回は桐谷、稲川、藤井の3人の組み合わせが実現。小柄で元気な火の玉のような稲川、ゆったりした芯に熱をたたえた桐谷、そしてかわいさと格好良さの配分が絶妙な長身の藤井と、フロントに立つメンバーが変わるたびにカラーが変わるのは、新しい「灼熱少女」の姿だった。

渡部はこれまでもライブ出演を熱望しており、昨年末のリリースイベントでは初めて身につけた2ndライブ衣裳に「これが私にとっての2ndライブです!」と感激のコメントをしたほど。夢見たステージに立った渡部は緊張の色をにじませながらも、堂々としたパフォーマンスを披露。仲間たちには「恵子姉さん」と呼ばれるようにどこか頼れる物腰がありながら、MCではすぐ涙ぐんでしまう涙もろさがある彼女が、「デコレーション・ドリ~ミンッ♪」で周防桃子としての歌声を発した瞬間にたちまちちょっと背伸びしたキュートな少女の姿を確かに感じるのは役者としての凄みと言うしか無い。

地元出身ということで気合が入っていたのが諏訪で、「カーニヴァル・ジャパネスク」のイントロの「イルミルミルミルミルミネーション…」が響き、彼女が一声歌うだけで会場の空気とテンションができあがってしまう。キャラクター性の強さと楽曲の強さで会場の色を塗り替えてしまうことにかけては、彼女と村川梨衣がミリオンのツートップかもしれない。諏訪は765プロカバーコーナーで山崎と共に「START!!」にチャレンジ。元は765プロの天海春香=中村繪里子の持ち歌だが、山崎と未来の持つ前向きさやど真ん中感と諏訪とまつりのほんわか天然感が合わさると絶妙に春香感が出るのが面白い。

名古屋ならではの要素といえば、高橋は渡部との「Bigバルーン◎」、そして諏訪とのデュエット曲「Decided」は本会場が初披露。特に「LTD」シリーズのデュエット曲「Decided」はリリースイベントタイミング以外ではオリジナルの2人が揃う状況は限られるため、ここで聴けたのはとても嬉しい。控室ではにぎやかに盛り上げる陽気な高橋だが、ステージに経つと高いレベルで安定したボーカルと表現力で場を軽やかにさらっていく。ソロの「水中キャンディ」ではそんな彼女のポテンシャルを十全に感じることができた。

今回のセットリストで注目したいのは、全員曲とリーダー曲を除いた頭とラストに愛美の名前があること。ある意味彼女は『ミリオンライブ!』というライブコンテンツが持つ格好良さやパフォーマンスのレベルの高さといったものを体現する存在なのかもしれない。それぐらい「流星群」を歌う愛美の存在の強さは圧倒的だ。だが『ミリオンライブ!』のライブコンテンツとしての強みは、そんな愛美が際立ちつつも突出はしないところ。セットリストの前後を担う高橋の「水中キャンディ」、そしてリーダーとしていつも以上の気迫を感じたMachicoの「Believe my change!」は、ライブクライマックスを担うパフォーマンスとして勝るとも劣らないものだった。名古屋公演のリーダー曲「STANDING ALIVE」は、もちろんMachicoと木戸が披露。『ミリオンライブ!』が本格始動して3年弱だが、その間にボーカル・パフォーマンスで一番伸びたのは木戸かもしれない。それぐらいソロの「おまじない」や、ユニット曲「瞳の中のシリウス」で見せた木戸のパフォーマンスは素晴らしかった。

今回のライブを見渡して感じたのは、メンバーそれぞれに立場が違い、それぞれに思いがあるということ。先頭に立ってライブを引っ張ってきたメンバーならでは成長や悩み。初めて大きなステージに立つメンバーだけが持つ高揚や慄え。公演のリーダーを任されて奮起する者と、一時センターの立ち位置から離れて、違う表情を見せるメンバー、それぞれに10通りの立場と想いがあった。そして、来週末に行われる仙台公演には今日とは全く違うメンバーが参加しており、今日とは全く違う楽曲が披露され、想いが垣間見えるはずだ。37人のメンバーが色の違う7つのライブを作りあげ、そのつながりがひとつのツアーとなる。それは今の『ミリオンライブ!』にしか見せられない、作り上げられないものになるはずだ。冒頭の挨拶で高橋が叫んだ「みんなで素敵な伝説作りましょう!」という言葉は決して絵空事ではない、そんな予感を感じる開幕公演だった。

○「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!」名古屋公演

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(中里キリ)