美容整形、増えるキラキラネーム プラチナカクテル・ミントリフト…これ全部施術名 競争激化で独自の進化 | ニコニコニュース

整形外科のサイトで紹介されている「うるおいコラーゲンリフト」。フェイスラインがすっきする効果があるという=湘南美容外科クリニック提供
withnews(ウィズニュース)

 「水光注射」「うるおいコラーゲンリフト」「ライムライト」「ミントリフト」。最近、美容整形の世界で「キラキラネーム」のような施術の名前が増えている。新学期、新生活を控えた冬は美容整形の季節。他店との差別化、さらにエステとの競争など、奇抜なネーミングの背景には、美容整形業界の事情が色濃く反映されている。(ライター・北条かや)

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フォトシルクプラス、プラチナカクテル……全部施術名
 昨年末、私は医療レーザー脱毛を受けるため、都心の某美容外科を訪れていた。ビルのエレベーターを上がると、開放されたドアが目に入る。

 「医療機関」の重々しい雰囲気はゼロ。落ち着いた照明にクラシック音楽が流れ、ゆったりとしたソファ、観葉植物が顧客を出迎える。受付を済ませて、飲み放題のドリンクに口をつけながら、女性ファッション誌や「今月のおすすめ施術」などのパンフレットに目を通す。

 水光注射、フォトシルクプラス、プラチナカクテル……パンフレットを見ていると、ここ最近、「え?」と思わせるネーミングが増えていることに気づく。難読な子供の名前、「キラキラネーム」が世間を騒がせているが、美容外科業界にも「キラキラネーム施術」が増えている。


「10人に1人が美容整形」
 拙著『整形した女は幸せになっているのか』を書く際、「日本人の10人に1人が美容整形を受けている」とのデータを紹介した。「え、そんなに?」と思った人もいるだろう。が、美容整形の定義を「保険診療外の、美しくなることを目的とした医療行為」とすれば、この数字はあながちウソともいえない。

 今、美容外科業界には、海外から入ってきた「手軽な新技術」が毎シーズンごとに投入されている。美容医療は、床にこぼした水がじわじわと輪を広げるように、その領域を広げ、メスを入れない手軽な手術がメインにすらなっている。

 増え続ける施術には、新たなネーミングがつく。使用する機械はどのクリニックも大差ないため、差別化をはかろうと、特徴的な「キラキラネーム」が増えている。

 一例を紹介しよう。たとえば、シミを消し去るレーザー治療。これまでは、熱で顔がヒリヒリして腫れるため、ダウンタイム(生活に支障をきたす時間や日数)が数日間必要だったが、最近ではダウンタイムの少ないタイプが登場。

 「フラクショナルCO2レーザー」なる技術は、細かな「炭酸ガスレーザー」を照射することで皮膚に小さな穴をあけ、肌の「再生能力」を高めるものだ。シミだけでなく、ハリ感アップや毛穴の縮小、ニキビにも効くという。


まるで飲み物のような名前
 あるクリニックでは差別化のため、この最新レーザーと「皮膚再生カクテル」なるメニューを組み合わせて提供している 。レーザーで開けた小さな穴に、皮膚の再生に働くグロースファクター(脂肪細胞由来の成長因子)やビタミン類をブレンドした「カクテル」を塗ることで、より効果が増すそうだ。

 美容クリニック業界では最近、「カクテル」や「ブレンド」「水」などのキーワードがアツい。まるで飲み物のように、身体に浸透していくイメージだ。

 広告を見れば、「水光注射」「うるおいコラーゲンリフト」「ライムライト」「ミントリフト」など、なんだか美味しそうな(?)施術があふれている。

 「ミントリフト」は、糸を使った“切らない”たるみ治療のひとつ。顔の一部からトゲのついた糸を入れ、頬を引っ張り上げる。これまでより糸の強度が増し、高い持続性を発揮する……と書くと「痛そう」に感じるが、ミントというと、可愛らしい印象ではないか。聞けば、ダウンタイムもほぼないという。


「美容医療とエステ、同じ感覚」
 私は毎回、看護師さんに「美容整形の最新事情」をあれこれ聞くことにしている。仕事柄だろうけど、皆けっこう喋ってくれるので面白い。

 「エステと同じような感覚でクリニックに来られるお客様も多いですよ」と言うのは、某美容クリニックで看護師を務めるAさん(29歳)。

 「人気はイオン導入ですね。微弱な電流をあてて表皮層のバリアを弱め、化粧品では届かない『真皮層』まで薬剤を浸透させるんです。エステの延長みたいですが、看護師施術ですから、エステより効果はある。お肌の状態に合わせて、ビタミンCやトラネキサム酸など、いろんな成分が入れられますよ」


キラキラネーム施術、なぜ増えた?
 イオン導入などの施術は、まさに「エステと美容医療の境界が曖昧になっている」ことの象徴だ。割と簡単な施術で、技術差もそれほどないから、他院との差別化も難しい。

 エステや他院に客を奪われては困るからこそ、「医療らしい効果感」を残しつつ、「当院ならではの独自性」もアピールできる、特徴的なネーミングが増えているのではないか。

 「メドライトC6」「ウルセラシステム」「ギャラクシー」など、キラキラネーム然とした施術名が増える背景には、「差別化」と「新規顧客開拓」を目指す美容クリニックの思惑が見え隠れする。

 冬は美容整形の季節。年末年始の大型連休や、大学生であれば2~3月の「冬休み」があるから、競争も激しくなる。

 「就活前に、キレイになろう!」「バレンタインまでに理想の二重を!」「50代でもあきらめないで!」……今日も美容外科の広告は、私たちを「美」の土俵に引きこもうとしてやまない。キラキラネームに惹きつけられ、私もつい、広告に見入ってしまった。


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ほうじょう・かや ライター。若者論やジェンダーの問題を中心に執筆。『キャバ嬢の社会学』『整形した女は幸せになっているのか』(いずれも星海社新書)。新著に『本当は結婚したくないのだ症候群』(青春出版社)。