お前のものは俺のもの!……ジャイアンの言動は法律上どんな行為になるの? | ニコニコニュース

お前のものは俺のもの!……ジャイアンの言動は法律上どんな行為になるの?
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人気漫画ドラえもんのキャラクターはみんな個性的であるが、その中でもジャイアンは特に印象的なキャラクターであり、単なるいじめっ子という概念を超えた存在とも言えよう。理不尽な理由でのび太をいじめたかと思うと、リサイタルを開いて殺人的な音痴を披露。極めつけは、のび太の持っている漫画を自分のものにしてしまうこの有名なセリフ「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの」。
もし、あなたがのび太だったら、果たしてこのような仕打ちに耐えられるだろうか? 「教えて!goo」にも、「物をとられたり壊されたりしないかと今でも恐れる」というような深刻な相談が寄せられていた。

相談者は、過去の辛い経験から、未だに自分の所持品を壊されたりしないか、とられたりしないか心配になってしまうとのこと。そのため、買い物をするときも、「これを持ってるのを見たら誰かとろうとして来たり、壊したりしてこないだろうか……」と不安になり、楽しく買い物ができないと話す。

■目に触れさせないようにする

この切実な相談に対し、厳しい意見や具体的なアドバイスなどが寄せられた。

「冷たいようですが、結局は、その何かあった時に相談者自身が何も対処ができない方だから、そのような心配をするのです」(nekoinusnobさん)

「他人の目に触れさせない努力をすればいいと思います。他人が関心あるものをできるだけ見せない、持って来ないってこと」(rukking15kさん)

「私は外国に住んでいて、日本ほど治安がよいわけではないので、やっぱりiPadなんかはとられる危険性があります。(中略)…ある程度慎重でいることは、けして悪いことではないのではないでしょうか」(kanakyu-さん)

回答の中の「目に触れさせない」というのは、対症療法ではあるが、確かに効果がありそうである。さらに、他の回答にある「とられることも当たり前」という前提で考えれば、他人の目に触れさせないことはより重要であろう。トラウマ自体の解消には時間がかかることも多いので、まずはできる形での努力をし、不安を緩和してみてはどうだろうか。

■ジャイアンの行為はどんな罪?

一方で、こうしたトラウマまで引き起こしてしまう行為を行った者の責任は重い。ジャイアンは小学生なので実際には罪には問われないようだが、もし一般的に考えた場合には、ジャイアンの行為はどのような罪に問われるのだろう。法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士に話を伺った。

「『のび太のものは俺のもの』と言って無断で奪う行為ですが、まず、のび太から文字通り奪いとった場合や、のび太のいないうちに勝手にとってしまった場合などには、『人のものを意思に反して窃取した』ことになるので、窃盗罪(刑法235条)が成立します」

奪いとったら窃盗罪、これは分かりやすい。では、直接奪うのではなくて、「よこせ!」と言われてのび太が渡してしまったら、その場合には窃盗罪は成立しないのだろうか。

「『のび太のものは俺のものだ! よこせ!』などと言われたのび太がジャイアンに自分のものを渡してしまった場合には、恐喝罪(刑法249条)が成立する可能性があります。なぜなら、のび太は、日頃から暴力をふるわれているので、ジャイアンの命令に従わないとまた暴力をふるわれると当然想像しています。そして、ジャイアンもそれを分かって要求しているのですから、『渡さないと暴力をふるうぞ』ということを暗に示していると言え、『人を恐喝して財物を交付させた』場合に該当しうるのです」

なるほど、直接「殴るぞ」などとは言わなくとも、日常的な暴力が存在していたことで恐喝罪が成立するようになるとは……。やはり日頃の関係性が重要な意味を持つのだろう。関係性と言えば、「お前のものは俺のもの」という言葉には、原作にはないがアニメ版だけで紹介されたこんなストーリーがある。


小学校の入学式にのび太がランドセルをトラックの荷台に置いてしまい、それをジャイアンが必死にトラックを追いかけてとり戻してくれたというものである。その際にジャイアンがのび太に放った言葉がこの言葉である。――「お前のものは俺のもの」。

(長澤正嘉)

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