トコジラミのゲノム解読=殺虫剤改良に期待―国際チーム | ニコニコニュース

 刺されると猛烈にかゆくなり、赤く腫れるトコジラミ(南京虫)の全遺伝情報(ゲノム)を、米シンシナティ大などの国際チームと米国立自然史博物館などのチームがそれぞれ解読し、2日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。

 トコジラミの被害は戦後、DDTなどの殺虫剤により激減したが、約20年前から世界的に急増。殺虫剤に耐性を持つ虫が増えたほか、海外旅行の普及や中古衣料・家具の流通が原因とみられる。研究成果は殺虫剤の改良や新たな駆除法の開発に役立つと期待される。

 トコジラミはカメムシの仲間で、外見はゴキブリの幼虫に似ている。成虫は赤褐色で体長5〜8ミリ程度だが、人間やペットの犬猫の血を吸って大きく膨らむ。ベッドやソファ、畳のへりなど室内のさまざまな場所に潜み、血を数カ月間吸わなくても生き延びる。

 シンシナティ大チームによると、DNAは約6億5000万塩基対あり、遺伝子数は約1万4220個。解析の結果、既存の殺虫剤への耐性をもたらす遺伝子変異が見つかったほか、暗闇で人間に近づくのに必要な嗅覚遺伝子群や、吸った血の凝固を防いだり、余分な水分を排出したりする機能に関する遺伝子群などが特定された。