旅人マリーシャの世界一周紀行:第87回 「ハングリー! ブダペストで食べ過ぎた“ブタの極み私”」 | ニコニコニュース

旅人マリーシャの世界一周紀行:第87回 「ハングリー! ブダペストで食べ過ぎた“ブタの極み私”」
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「ウィーンで掏摸(スリ)にあっちゃったんだ。財布とパスポート盗られたよ…」

それは、南米アルゼンチンで出会った旅友カズ君からの連絡だった。

「ええ! それは災難だったね。近くいるならちょっと会おうよ」

私はそう告げ、旅友とハンガリーの首都ブダペストで久々に再会することになった。待ち合わせ場所はブダペスト西駅の駅舎にある観光名所、「世界一美しいマクドナルド」

この駅舎は、1870年代にエッフェル塔の設計者が手掛けた建造物で、確かに天井や照明も美しく雰囲気が良かった。

「世界一」というほどのインパクトではなかったけど、過去にはシャンデリアなどが飾られていたそうだから、もっとゴージャスだったのかな。(ちなみに私、関東人ですが「マック」と言うと現代ではアップル社と区別が付きにくいので、関西呼びの「マクド」と言いたい盛りです)

実は、今朝6時にブダペストに着いた私の朝食は朝マックだった。(これに関しては関西圏でも朝マクドではなく朝マックとい言うらしい)

久しぶりの味は懐かしかったが、ファストフードを1日に2度食べるわけにはいかない。私たちは写真だけ撮ると、街を散歩しながら掏摸の話で盛り上がった(?)。

今回の事件は、H&Mで買い物中にやたらぶつかってくる女のコがいて、たぶんそのコが犯人。

今思えば、女のコがずっとメンズコーナーにいたり、不審な行動をしていたりとおかしな点が多かった。しかし、その時は意外と気づかないもので、すっかりカバンから貴重品を盗られてしまったのだ。私も、かつて強盗や泥棒などの被害を経験してきた旅人のひとり。ドイツで掏摸未遂にあったのが記憶に新しい。

南米で数々の犯罪に直面して危機管理能力が上がった旅人たちも、ヨーロッパになると警戒心が緩むのか、「(南米に比べて)治安良いじゃん」と逆に油断してしまうのかも…。ピュウッ!

話は盛り上がるも北風があまりにも冷たく、目の前のお店に一瞬避難しようかと思うと、そこは奇しくもH&Mだった。カズ君はトラウマがあるので「しばらく店内には入りたくない」と笑い、私たちはそこで別れた。

ブダペストは治安が良いように感じたが、あらためて掏摸などに遭わないようにと、気を引き締めて夜道を帰った。

宿に着くと、ちょうど週一のイベント、フリーディナーの時間。ハンガリー料理が出ると聞いていたのでワクワクしていたのだが…。実際に、バックパッカーたちに配給された料理はボテボテしたクリーミーなマカロニに塩をかけただけの、ただ腹を満たすのみの炭水化物だった。

みんなのガッカリ具合と、タダだから文句は言えないという沈黙がとても可笑しかった。

翌朝もフリーの朝食が付くという嬉しい宿で、私はヘーゼルナッツの香るヌテラチョコレートをたっぷりと塗ったトーストを2枚たいらげた。ヨーロッパの朝食には必ずと言っていいほどヌテラが出てくる。かっぱえびせん以上にやめられない止まらない。朝から満腹。

外は雪もチラつく寒さで宿から出るのは億劫だったけど…「そうだ、温泉行こう!」

ハンガリーは「温泉都市」としても有名で、ブダペストだけでも50以上の温泉浴場があるのだそう。さらに、冬の時期はDJパーティーなんかもあってお風呂がクラブ化するらしい。

温泉浴場の入場料は2~3千円ほどかかるが、旅中に湯船に浸かれるなんて、この上ない幸せじゃないか! そう思ったのも束の間、こんな噂を耳にした。

「お風呂場でチェスを楽しんでいるその裏側では男性同士の18禁があったり、その結果(?)お湯が白く濁っていてヌルヌル。そして、温度もヌルくて温水プールのようだ」

私は、マチュピチュの温泉を思い出した。アカの浮いた清潔とは言えないヌルいお湯は、癒しどころか激寒で苦行だったということを…。寒さに強い欧米人や西洋人なら楽しめるだろうけれど、暖かいお湯に浸かりたい江戸っ子の私は、結局ハンガリーの温泉を諦めてしまった。

こうなってくると、もうやることはひとつ。いつのまにか私は「食」に走っていた。いつのまにか“ブダペストで豚ですよコース”への日々が始まっていたのだ。

ハンガリーと言えば、フォアグラ

中央市場で1キロ5500フォリント(約2300円)ほどで売っている。何グラムか買ってきて調理する旅人は多いが、なんだか黒焦げにしちゃったり溶けちゃったりと失敗例多数。

せっかくのフォアグラなんだもの、私はトリップアドバイザーでこの街一番のお店を調べ、最高のフォアグラを自分の肝臓に移植することにした。市場で買うよりはだいぶ割高だけれども、6900フォリント(約2900円)でフライパンいっぱいにフォアグラが出てくる。日本で頼めばひと口サイズでしか出てこないだろう。

煮詰めた甘いリンゴとソテーしたフォアグラを口に運ぶと、と、とろける~! 添えられたマッシュポテトも滑らかで、まるでデザートのよう。

ペロリと完食すると、なんだか肝臓が2倍くらいに肥大した気分ですっかりブタです。(ところで、ブダペストって聞くと、なんとなくブタを思い浮かべてしまうのは私だけでしょうか…)

その後もフォアグラを食し、地元密着型ハンガリー料理や兄弟がやってるお店の有名パンプキンスープ、そして興味本位でラーメンまで。自分にたくさんのエサを与え、肝臓を肥大させていったーー。

もう旅人マリーシャじゃなくてフォアグラマリーシャです。気づくと、体が重い…。ヤバイ、運動しなきゃ!

思い立ったように街歩きを始めると、「ドナウの真珠」と呼ばれるブダペストの景色は美しく、思わず写真を撮った。撮った写真を見ると、太った私とその景色はまさに「豚に真珠」

ブタの極み私、ダイエットするべきー!

【This week’s BLUE】 シュロの葉を天に掲げる女神像。丘の上の小さいのがそれです。

●旅人マリーシャ

平 川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負 う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】