State of Testing 2016調査

テストに関する現状調査(state of testing survey)は,テスト専門家たちのさまざまな意識についての洞察の獲得を目的に,テスト技術やプラクティスの利用状況,テスト自動,現在のテスタが日々直面するさまざまな課題などを確認するものだ。テスタがテスタのために行なうこの調査は,PraciTestのJoel Montvelisky氏が,Tea-Time with TestersLalit Bhamare氏の協力を得て実施されている。

2016年は,3回目の調査を実施する年になる。調査の質問は,Montvelisky氏が説明するように,これまでの調査で使用された形式を踏襲したものになる予定だ。

Joel Montvelisky: 現在はまだ,テスト関係の傾向に注目している段階ですので,これまでと同じような質問を繰り返すことによって,今回の調査後に得られる3回の調査結果を比較してみたいと思っています。

2013年の調査報告に関するMontvelisky氏とのインタビューの中で,氏は,テスタが主に利用しているアジャイルプラクティスや技術,ツールなどについて話してくれた。

Joel Montvelisky: 調査の結果から分かったのは,アジャイルチームの自動化の割合が,”非アジャイル”なテストチームに比較してはるかに高いことです。使用されている自動化ツールには,SeleniumからTestCompleteに至るまで,その中間のものを含めて,さまざまなものがありました。

もうひとつ確認できたのは,自動テストを独立したテスト作業としてではなく,開発プロセスに統合された一部として実施しているチームが多かったことです。 自動テストを利用するテスタの多くが,JenkinsやBambooなどの同じ開発フレームワークを使用して,ビルドプロセスにテストを直接組み込んでいることも分かりました。

技術に関しては,探索的(Exploratory)テストとスクリプト化されたテストを併用する例が目立ちました。この組み合わせは,プロジェクトのダイナミックなニーズに対処する上で有効であると同時に,それまで運用してきた,ある面では制限の多いテストスイートで実現していたセキュリティレベルを維持することを可能にするものです。

2015年の調査では,当時のテストチームが直面していた主な課題について言及されている。Joel Montvelisky,Lalit Bhamare両氏とInfoQのインタビューでは,次のような説明があった。

Joel Montvelisky: チームとマネージャにとって最上位の課題が組織拡大と時間に関するものあることは,レポートから非常に明確に理解できると思います。

組織の拡大は,優れたテスト技術者の雇用に関して報告されている課題に反映されています。原則的には,これはよいニュースだと思います。雇用に関して課題があるということは,優れたテスト技術者に対する高いニーズがある,という意味だからです(これはテスト,特に手動テストを衰退技術と考えていた人たちに言いたいですね)。

第2の課題は時間枠に関するものです。繰り返しになりますが,私はこれも,世界がリーンやアジャイルプラクティスに向かっているという事実に関連したものだと思っています。このアプローチは,テストサイクルは長く包括的なものであるというこれまでの仮定に疑問を呈して,これまでよりもリスク分析や自動化,開発テストを基本とした作業,それによるテスト時間全体の削減という,現実問題の場に私たちを置きます。

Lalit Bhamare: 1行でまとめるならば,主な課題は“少ない労力で大きな成果を上げる”ことだと言っていいでしょう。つまり,より多くの(意味のある)テストをより短時間で実施する,より短時間でより多くの障害を検出する,より少ない予算でより効果的なテストを実施する,効果的なテストをより少ない人数で実施する,より効果的なテストをより不確定な情報で実施する,といったことです。

テスト担当者の大多数がそれを扱う方法を見つけているかどうか分かりませんが,私の知る中では,“Rapid Software Testing”や“Context Driven Testing”の原則に従うことで,このような問題を解決しようとしている人たちがいます。

InfoQはMontvelisky氏に,今回の調査を通じて洞察が得られると氏が期待する,テストに関して現在起きているトレンドに関して質問した。

Joel Montvelisky: 私たちが(少なくとも無意識に)求めているものは,業界全体がよりスリムなプラクティスにどの程度進んでいるのか,テストタスクがコアなアジャイルチームにどの程度浸透しているのか,ということです。アジャイルへのトレンドが今度はDevOpsに向かおうとしているのか,今日のテストのトレンドや知識について最新情報を得る手段としてのソーシャルネットワークや仮想カンファレンスへの移行はどの程度続いているのか,といった点も気になります。

ですが私は,結論の大部分は,調査それ自体の結果から得られるものと考えています。現在はまだ,テスト専門家やコミュニティに関するリアリティを深く知る手段として,さまざまな質問を幅広く求めている段階なのです。

調査に参加することで,調査結果の公開時に,その全ての内容を無償で受けとることができる。