明らかにされたTwitterの国内ユーザーは「3500万人」 “原点回帰”へプロダクト見直し、開発者との関係強化に注力 | ニコニコニュース

国内ユーザー数の推移
ITmedia ニュース

 Twitter Japanは2月18日、国内の月間アクティブユーザー数(MAU)を3500万人と発表した。国内のみのユーザー数を公表するのは初めて。重なる機能変更・追加でたびたび物議を醸しているが「ユーザー全体で見ると変更後にはプラスの変化が表れている」という。

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 2011年3月時点で670万人だった国内MAU(アカウント数で算出)は、15年12月時点で3500万人と、5.2倍に成長した。東日本大震災後にユーザーが増え、その後コンスタントに伸ばしているという。

 数年前まではユーザーのボリュームゾーンは10〜20代だったが、この1、2年の新規ユーザーは30〜40代が多く、現在のユーザー層の中央値は30代になっているそうだ。日本のユーザーは「1人あたりの平均ツイート数が他国と比べて多い」「複数のアカウントをアクティブに使い分けているケースが比較的多く見られる」などの特徴があげられるという。

 笹本裕代表はTwitterの存在意義を「言語や文化などの障壁をなくしてアイデアや情報を一瞬で共有する力」「世界中の人々のマイク&情報源」と話す。東日本大震災後にライフラインとして利用されたことは、Twitterのプロダクト開発の指針としても大きな出来事だったと振り返る。

ジャック・ドーシーCEO復活で“原点回帰”

 昨年の大きな変化は、創業者であるジャック・ドーシーCEOの着任による「原点回帰」(笹本代表)。Twitter誕生から3月に10年を迎えるが、世界全体のMAUは3億2000万人、うちモバイルからの利用が80%、米国外からの利用は78%に達している。「外部環境もユーザーの使い方もどんどん変化している中、Twitterの本質や魅力をあらためて考えていくフェーズ」(笹本代表)。

 16年に注力する点として、(1)プロダクトの見直し、向上、(2)Vine、Periscopeとの連携強化を含めた動画関連機能の拡充、(3)クリエイターのサポート、(4)誹謗中傷や不適切な表現、著作権侵害などを防ぐ安全性向上と正しい利用の啓蒙、(5)開発者との関係強化――の5点を挙げる。

 重要なツイートをハイライトする「タイムラインの優先表示」、「お気に入り」アイコンの「星」から「ハート」への変更──など、機能の変更・追加でたびたび物議を醸しているが、それぞれがユーザーから要望として上がったものだという。ユーザーヒアリングや調査、一部のユーザーへのテストなどを経て、成果を確かめてから製品化に踏み切るというプロダクト開発のプロセスも明かした。

 昨年実施したものを見ると、ダイレクトメッセージ(DM)機能は、グループ機能やツイート添付、画像添付機能の追加、字数制限の実質的撤廃(1万字まで)などを行ったことで、利用率が61%向上したという。前述の2点も「『お気に入り』の星は意味が分かりにくい」「タイムラインから重要な情報をピックアップして知りたい」という声から開発がスタートしており、いずれもユーザー全体で見ると変更後にはプラスの変化が表れているという。

 日本発の機能として誕生した、話題のニュースとそれに対するコメントをまとめて見られる「ニュース」タブ、ログインしなくても話題のツイートが見られる「ログアウトホームページ」の設置など、「つぶやかないから使わない」という人に向けた機能にも力を入れる。自ら発信するだけでなく、興味のあるテーマの情報収集、リアルタイム検索などの使い方/楽しみ方をアピールする狙いだ。

 成長戦略を担う牧野友衛執行役員は「MAUを増やすという観点で見たアプローチは、新規のユーザーを増やすことと、ログイン頻度が少ない人にアクションしてもらうことの2つ。機能変更は何をしても絶対に批判は出てきてしまうので、既存の使い方を損なわないことはもちろん考えつつ、冷静にインパクトやメリットを見極めていく」と述べた。

 投稿自体も140字の制限を撤廃するのでは? という噂も出ているが「まだ決まっていることは何もない」(笹本代表)。「140文字」はBlackBerryのSMSの字数制限に呼応して決められたものであり、デバイスや環境が変わる中でより時代にあったものを再検討する価値はあるのでは、という考え方――と方向性を説明した。

 サードパーティサービスの開発者とのコミュニケーションを増やすことも課題だ。「米本社も含めて対話が足りていなかった」(笹本代表)と振り返り、開発部隊の組織編成を一新することで、外部サービスとの連携やニーズに合ったAPI提供などをより積極的に進めていきたいとした。

収益面でも「Twitter経済圏」拡大

 ユーザー数の拡大に限らず、外部サイトやアプリ、広告ネットワークなどと連携した「Twitter経済圏」の拡大も指標の1つとして掲げる。現在、ツイートを埋め込んだ外部サイトや検索結果など、アプリやWebサイト外でのリーチは月間10億件に上る。存在感を一層高めるとともに、ユーザーの興味関心情報を生かした広告配信システムなど、収益面につなげる施策も検討していきたいという。

 15年第4四半期の決算は、データライセンスと広告収益が好調で売上高7億1047万ドルに成長したものの、MAUは前期比で横ばいとなり、市場の評価は厳しい。

 「今年はやはり“原点回帰”、ジャックの思想から生まれたプロダクトがこれから出てくると思う。利用者や収益などで確実に成果をあげつつ、目先のユーザー獲得だけでなく『経済圏』の広がりを意識して取り組んでいく」(笹本代表)