中国人が「日本の薬」を買うのは「神薬」だからではない、「もっと大切なこと」が込められているからだ | ニコニコニュース

中国人が「日本の薬」を買うのは「神薬」だからではない、「もっと大切なこと」が込められているからだ
サーチナ

 中国メディアの環球網は19日、日本に行った中国人がドラッグストアで「爆買い」をするのは、「高級な神薬」を求めてではないと指摘する記事を掲載した。「神」は最近の中国で流行っている表現で、この場合は「神のごとく効く薬」の意。同記事は、日本人は「消費者とは人である」ことを徹底して意識して、製品を作り出していると論じた。

 記事は、春節期(旧正月期)に東京のドラッグストアには多くの中国人がつめかけ、薬や化粧品を大量に購入するので、仕入れが追い付かず棚が空になる場合もあるほどと紹介。

 さらに、中国では2014年ごろからSNSなどで「日本に行ったら絶対に買わねばならない神薬」などの紹介が相次ぎ、現在も熱い人気は衰えないと紹介した。

 その上で、「世界で最も先進的な薬品や保健品を次々に世に出している国ではない」と指摘。さらに、中国政府が許可する自国製の薬品や保健品も、「根本的な効き目」は日本製と変わらないいと指摘した。

 しかし日本では、医薬品などについて「使うのは人」との考えが徹底していると指摘。薬そのものだけでなく「使うのは専門的知識のない普通の人」、「使ってみて便利だったと感じるかどうか」も重視し、小児用の薬の場合には「薬を飲むことが楽しくなる」ような工夫が凝らされている上に、蓋部分では子どもが勝手に開けにくい「安全設計」がなされていると紹介した。

 記事は、日本の薬品や保健品の特徴は、「消費者の心の中からの信頼と受け入れを得ることに力を入れていること」と解説。成分についても、「耳慣れない化学物質はできるだけ使わないようにして、多くの人が名をしっているビタミン類を多用し、化学物質に対する副作用の懸念を低減している」との考えを示した。

 中国のSNSで日本の薬品や保健品、化粧品類の紹介が爆発的に増えたことについては「費用ゼロの宣伝」と指摘。消費者の信頼と評価を勝ち取ったことが、一層の販売促進効果を生み出したとの考えを示した。

 中国のSNSでは、日本の薬品や保健品について極めて好意的な紹介が多いため、記事筆者は「日本企業が報酬を出して雇った人が書き込んでいるのでは」との疑問に答える必要も感じたと言う。

 中国では、政府・共産党から報酬を受け取って、政権側に都合の良いコメントなどをSNSや電子掲示板に書き込む人を「五毛党」という。1本当たり5毛=0.5元(約〓円)の「原稿料」だからとされている。一方、企業から報酬を貰って製品やブランドイメージを向上させる文を書き込む人は「水軍」と呼ばれる。

 記事によると、日本の有名企業に問い合わせたところ、「上場企業なので財務報告を発表しています。広告費にそのような支出があれば、必ず明示せねばいけませんし、日本の法律は極めて厳しいので、支出項目を偽った場合には、厳しい制裁を受けます」、「私どもが公開している財務報告には、そのような支出はありません」などの説明があったという。

 記事は「中国のSNSに出現する日本の薬品や保健品の“ファンクラブ”は、心の底からその製品を好きな人だと言えるだろう」と論じ、日本の薬品、保健品の長所については「すでに“ファンクラブ”が回答を出している」と評した。

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◆解説◆


 上記記事は、中国の「業界人」にとって大きなヒントになっていると言える。技術面での飛躍的な向上は、それまでの積み重ねが大きく影響するし、場合によっては「よい」と分かっていても権利関係で合法的には使えないことも多いからだ。

 ただし、「消費者が何を求めているか、何を喜ぶか」は、きちんとした心がけを持ち、それを継続させれば、必ず実現できるはずだ。中国で日本製品のよさが改めて注目されてから2年ほどが経過した。中国企業が「日本にどれだけ学べるか」は、今後の中国経済の成熟と安定にも、大きくかかわるはずだ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF。買い物目的の中国人が連日つめかける銀座の風景)