【レビュー】Windows 10 Insider Previewを試す(第43回) - PC版とモバイル版を同時リリースしたビルド14271 | ニコニコニュース

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2016年2月24日(現地時間。日本は25日早朝)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14271をリリースした。前回の記事で予想したとおり、2016年2月もビルド14257、ビルド14267、そして今回のビルド14271と3回のアップデートを行った。また、Windows 10 Mobile Insider Previewも同じタイミングで、ビルド14267.1004をリリースしたことから、"OneCore"を実現する開発は1つの山を越えたことがうかがえる。本ビルドはユーザーフィードバックに基づいたバグフィックスが中心となった。

○Windows 10とWindows 10 Mobileのビルドを統一

MicrosoftはWindows 10と共にWindows 10 MobileのInsider Previewを行ってきた。だが、広く門戸を開いていた後者はビルド10586.107を最後とし、Redstoneに向けて2016年2月中旬から始まったビルド14267.1002は、Lumia 950/950 XL/650/550、そして小米科技のXiaomi Mi4と、インストール可能なデバイスを限定している。

今回のビルド14267.1004からは、ALCATEL ONETOUCHのFierce XLが対象デバイスに加わっているが、いずれも日本では販売しておらず、並行輸入品などを購入しなければならない。そのため、進捗を気にされる方は多くないだろう。今後拡大するであろうWindows 10 Mobile市場や、2016年内に迎える大型アップデートを踏まえ、今回からWindows Mobile Insider Previewについても本稿で扱うことにした。

さて、まずはPC版のInsider Previewから変更点を確認しよう。Microsoft Engineering Systems Team CVPのGabriel Aul氏が公式ブログで示したバグフィックスは10カ所。1つめはウィンドウの境界に配色するアクセントカラーがすべて黒になる点だ。筆者もデスクトップPCの前ビルドで発生していたので気になっていたが、改めて別PCにインストールした前ビルドで確認すると、正しいアクセントカラーが表示されている。そこで、背景画像を無効にして、単色に切り替えると問題を再現できた。

2つめは「Grooveミュージック」使用時に、タスクバー上のボタンにマウスオーバーすると描かれるサムネイルのアイコンを更新したという。先ほどと同じくビルド14267をインストールしたPCと、ビルド14271に更新したPCで確認してみたが、確かにコントロール用アイコンはわずかに大きくなった印象を持った。

3つめはPowerPointをスライドショーモードでプレゼンテーションを行っている最中に、タスクバーが自動的に隠れず、予想外の動きをしてしまう問題を修正している。4つめは<プレゼンテーション中は通知を非通知にする>が正しく動作しない問題を修正。このようにタスクバーやトースト通知に関する修正を行ったためか、「設定」の<システム/Taskbar>という新カテゴリーが加わった。

ご覧のとおり日本語化されていないが、従来は「タスクバーとスタートメニューのプロパティ」ダイアログの<タスクバー>タブに並んでいた項目が、同じように並んでいる。ちなみに同ダイアログはビルド14267でも使用できるが、今後はコントロールパネルのWindows Updateのように廃止する方向にあるのだろう。

5つめおよび6つめはアクションセンター。こちらに並ぶアプリケーションヘッダー(各通知が並ぶアプリケーション名)を右クリックするとコンテキストメニューが現れ、対象となるアプリケーションの通知を無効にするか、通知に関する設定を行う項目が現れる。前ビルドでは通知を右クリックすると、そのまま削除できたが、本ビルドはアプリケーションヘッダーおよび通知両者でコンテキストメニューが現れる仕組みに変わった。また、アプリケーションヘッダーの領域も拡大している。Skypeやメールといった大量の通知が現れる場合の操作が容易になったのは大きいだろう。

7つめはチャットなどインタラクションな通知でテキスト入力できない問題、8つめはユーザー切り替え時にピクチャパスワードが動作していなかった問題、9つめは一部のデスクトップアプリがスタートメニューから欠落してしまう問題、最後は背景画像で<スライドショー>をしている際にアクセントカラーが自動的に切り替わらない問題を修正した。

本ビルドにおける既知の問題として、Aul氏は5つのポイントを示している。1つめは休止状態から再開する際に、フリーズやBSoD(Blue Screen of Death)が発生する現象が確認されているそうだ。Aul氏は「現在問題を追跡中だ」と述べ、この問題が解決するまで休止状態を無効にすることを進めている。ちなみにこの設定は、コントロールパネルの「電源オプション」→<電源ボタンの動作の設定>→<現在利用可能ではない設定を変更します>とたどればよい。

2つめは「カスペルスキー インターネット セキュリティ」などに含まれるドライバーが、本ビルドでは正しく動作しない問題。既にビルド14267では確認されているが、Aul氏は「現在カスペルスキーと協力して問題の解決に努めてる」と述べつつ、Windows Defenderを含む他のセキュリティ対策ソフトを使用することを推奨している。3つめは<常にすべてのアイコンを通知領域に表示する>のスイッチをオンにしていると、通知領域のレイアウトが破壊するという。試しに有効にしてみたところ、筆者の環境では通知領域がなくなってしまった。スイッチをオフに戻すと元に戻るため実害はないものの、同設定を有効にしているユーザーは注意してほしい。

4つめは可視化ライブラリとして有名なD3.jsを使ったサイトのチャートが、Microsoft Edgeで正しく表示されない問題。MicrosoftはCortanaやBing.com、PowerBI.comで同問題を確認していると述べている。最後は「QQ(中国で有名なIMアプリケーション)」が正しく動作しない問題だ。Aul氏は「Windows LiveメールやExpression Encoder 4など古いアプリケーションが影響を与えている」と推測している。

続いてWindows 10 Mobile Insider Preview ビルド14267.1004について紹介しよう。本来であれば前ビルドの話もしたいが、かなり冗長になるため、公式サイトのアナウンスをご覧頂きたい。

本ビルドでは4つの改善が盛り込まれている。1つめはビルド14267.1002で発生していた、Lumia 550がUSB経由で充電できなくなる問題を修正。2つめはビジュアルボイスメールの通知の修正と、デュアルSIM環境での正常動作。3つめは前述したALCATEL ONETOUCHのFierce XLのサポート。そして最後は履歴機能を備えた「Skypeメッセージング」をリリースしたという。

また既知の問題として、「Windowsフィードバック」をピン留めしていた場合、アップグレード後に表示されなくなり、Continuum for Phoneでワイヤレスディスプレイに接続する際の問題、Lumia 950 XLでContinuum for Phoneを使用する際にトラックパッドが正常に動作しない問題を確認しているそうだ。

筆者は今のところビルド14271で大きなトラブルに見舞われていないが、前述のとおり休止状態からの再開でトラブルが発生するということは、電源管理周りで何らかの不具合が発生している可能性が高い。Windows Insider Program参加者はこの点に注意しながらビルド14271を試すか、一時的に低速リングに切り替えることをお薦めする。

阿久津良和(Cactus)

(阿久津良和)