楽しい修学旅行を嫌がる子どもが急増中!その理由は? | ニコニコニュース

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ママが子どもだった頃、楽しみ以外の何物でもなかった小学校の修学旅行。布団で友だちとトーク、好きな異性への告白、肝試しにお土産選び…修学旅行と言えば、「楽しい思い出しかない!」というママたちには想像しがたい話だが、今、教育現場では、修学旅行 を嫌がる児童が急増していると言われている。果たして、その理由はどこにあるのか? 「子どもゴコロの心理学」を出版した、精神科医で漫画家のゆうきゆう先生に聞いた!

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●分離不安は、母親との誤った関係性から生まれる


ゆうき氏は「小学生で学校そのものが嫌というわけではなく、修学旅行だけを嫌がる場合は、単純に家族(おもに母親)と離れることに不安を感じている可能性がある」と分析する。

「いわゆる“分離不安”というものです。赤ちゃんは、ママとパパがちょっと離れるだけでも泣きますよね。まだ、ママとパパがずっと側にいてくれる存在だと知らないから、離れると“置いていかれた”という強い不安を感じるのです。親からの愛情を一身に受けて育つうちに、赤ちゃんは、親がいつも自分を守ってくれていると理解します。そしてようやく、幼稚園に行ったり小学校に行ったりして、親がいないところでも安心して生活できるようになるのです。しかし、この過程で充分な愛情を感じられなかった場合や、健全な親子関係を築けなかった場合、子どもは親と離れることを過剰に恐れるようになってしまうケースがあります」(ゆうき氏 以下同)

この分離不安が強い人は、大人になっても、ある問題を抱えるようになるという。

「他人との距離がうまくとれない、恋人と離れることに不安を抱く、SNSに中毒的に依存するなどの問題を抱えやすくなってしまいます。核家族化、少子化が進む現代では、母親とべったりであったり、叱られないで育ったり、逆に忙しくて放置されていたりと、適切な親子関係が築けず、愛情をうまく受けられないまま育つ子どもが増えているのかもしれません。そのため、家庭から離れて同級生たちと寝食を共にする修学旅行に不安感を覚えるのではないでしょうか」

また、夜尿症が治らず、修学旅行に不安を抱える児童もいる。

「小学校高学年の子どもでは、5%程度に夜尿症がみられます。子どもはまだ、膀胱の容量が少なく、寝ている間におしっこをしないように調節する機能もうまく働いていないことがあるのです。実際に夜尿をするかどうかは別として、“修学旅行でおねしょをしてしまうのではないか”と心配になる子もいるでしょう。なるべく早めに夜尿の原因を特定し、旅行前に向けて治療していくのがベストですが、眠る前に水分をとらなくても夜尿がある場合もありますし、ストレスで起きている場合、体質も多少関係してきます」

今は、教員の間でも、夜尿症対策がしっかりと行われているそう。

「家族旅行の経験があれば対策もとれますし、旅行自体を楽しんだ経験があれば、教員と連携して対策をとることで、修学旅行を楽しむことができます。そういった経験が何より自信に繋がりますし、修学旅行に行きたい気持ちがあるのであれば、本人が安心できる対策を十分にとって、参加する意志を高めてあげられるといいですね。また、一度病院で受診して相談するのもお勧めです。薬で症状が軽減できることもありますし、早めに相談をすることで、宿泊時の対策について的確なアドバイスがもらえます」

ママは焦って、「何が何でも行きたい気持ちにさせる」ことを最優先にしがちだが、高学年ともなれば、子ども自身にも考える力がある。ママが1人で解決しようとせず、”一緒に考えていく“ことが大切なのだ。

(取材・文/蓮池由美子)

記事提供/ママの知りたいが集まる『mamatenna(ママテナ)』

※当記事は2016年02月24日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。